COO-最高執行責任者(Chief Executive Officer) への道のり

「すぐ答えを探そうとするな」 株式会社グライダーアソシエイツ 取締役COO 町野健氏


 

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■略歴
上智大学大学院理工学部機械工学科卒業後、日本ヒューレット・パッカードにてシステムコンサルタントを経験し、2003年よりマクロミルに入社。
海外事業や新規事業の立ち上げを経験した後、一度転職をするが2008年にマクロミルへ復帰。2012年にグライダーアソシエイツを設立し、同年5月にAntennaをリリース。2014年9月現在、400万ユーザーを超えるキュレーションメディアに。

Q:ご経歴を教えて頂けますか。

 新卒でヒューレット・パッカードに入社し、システム開発のコンサルティングをしていました。僕は工学部出身なのでモノづくりに携わりたいという思いがあり、当時はシステム開発ブームだったこともあり、また、海外で活躍したいので外資系がいいと考えていたので、そこに決めました。
ただ、入社してみて「自分には大企業はやっぱり合わないな」と感じました。初めて入ったプロジェクトは20億円ぐらいの大会社のシステム開発案件でした。新卒なので当然なのですが、自分の存在なんて有ってもなくても何も変わらないし、何かを先陣切ってやっていこうと思っても、なかなかそれは手の届かないもので。ここにずっといたら、自分が成長していくのに時間がかかるなって直感的に思ったんです。次はベンチャーに行きたいなと思っていたところで、転職活動でマクロミルを見つけて転職した、という流れです。マクロミルは当時(2003年)無名で、40人ほどの規模でしたが、とても面白そうな会社だと思ったんです。

Q:マクロミル社ではどういうお仕事をされていたのですか。

 基幹システムの仕様設計などに携わった後、事業企画・社内の仕組みを作る部署に入って、経営企画や新規事業の立ち上げなどをやりました。本当は海外展開に関わりたかったのですが、当時はまだその段階ではなく、一度マクロミルを辞めて、知り合いが立ち上げたブランドコンサルの会社で、数十社の企業戦略とかマーケティング戦略の提案などをやっていました。それから2年経った頃に、マクロミルで海外展開をすることが決まり、僕を思い出して声を掛けてくれた人がいて、また戻ったんです。それから韓国に1年半近く赴任して、マクロミル・コリアを立ち上げました。

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Q:韓国から戻ってから、グライダーアソシエイツを設立された経緯は?

 2011年当時、海外ではニュースアプリがすごく伸びている時期で、特にFlipboardというアプリが伸びていました。その頃はまだiPad版しか出ていなかったのですが。
マクロミルもちょうどスマートフォンアプリのビジネスをやっていたので、Flipboardを見たときに、このモデルは日本でもできるな、と思いました。それで、杉本(マクロミル代表取締役社長兼会長 兼 株式会社グライダーアソシエイツ代表取締役社長CEO)と話をして、これをやろうと決めました。1~2週間で事業計画書や画面設計書を作り、2012年2月にグライダーアソシエイツを立ち上げ、5月にAntennaをサービスインしました。構想からサービスインまで6カ月ほどでした。

Q:杉本さん(CEO)、町野さん(COO)、荒川さん(取締役)の役割分担は?

 杉本は、全体のビジネス案・プロモーション・ファイナンス系を主に見ていて、プロデューサーのようなイメージですね。僕は主に、開発・企画・新商品の設計を担当していて、手順に落としたり、資料に落としたり、アプリとして形にするところをやっています。役割としてはディレクターでしょうか。荒川は営業面で、広告部分を担当しています。

Q:ご自身はCEOではなく、COOタイプの人間だと思われますか?

 僕はCEOとCOOの両方を経験していますが、やはりCOOの方が向いていると思っています。失敗しないようなプロジェクトマネジメントをすることはある程度できるんですが、でも、社長になる人は、タレント性というかカリスマ性というか、そういうものが重要になってくると思うんです。同じことを説明するのもその人が言った方が人を惹き付けられるし、やる気にさせられる事もできます。僕はそのタイプではないと思うので。加えて杉本には構想力と戦略眼があります。こういう仕様ならこういうポジショニングをすべきだと判断することに長けているんですよ。僕は、彼が考えた発想を具現化する担当だと思っています。
 Antennaの場合もそうでしたが、一番初めに作ったプランがそのまま正解になるわけではなく、重要な骨格は変えずに、どういうポジショニングに変えていった方がいいかを発想することは非常に重要な部分だし、やっぱり経験とセンスがいるんですよね。

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Q:たとえばAntennaのポジショニングについてはどうですか?

 例えば、広告に関していうと、キュレーションマガジンって「ターゲティング・メディア」なのでユーザー数がなかなか取れないですよね。NAVERまとめやYahoo!といったユーザー数が多いところと単純に比較されると、広告メディアとしては弱いんです。そうであれば雑誌的な発想で、数で勝負しない「ブランディング・メディア」という考え方をする。雑誌って測定もできないし、要はブランディングですよね。その発想をネット広告に取り入れて、売っていくべきだってことから考えるわけですよ。
僕はついつい、ネット広告出身なので既存の広告メディアより優れているはずだっていう発想で進めてしまいがちなのですが、ブランディングであるというところに軸を置いて、舵を切っていこうという発想を杉本は言うわけですよね。事実それは非常にうまくいってます。

Q:これまでユーザー数は順調に伸びて、今の規模になったのですか。

 昨年の1月はまだユーザー20万人だったんですが、もうすぐ400万人に手が届きます。
 それでも、やっぱり1年目は思うように伸びず、厳しかったですよ。自分のイメージ通りには伸びていなかったし。このままいったらまずいんじゃないかという感じでした。でも、特別これをやったらよくなったというようなものはなくて、ユーザーから指摘されていることや、周りの人から指摘されたことを、30個とか40個リストアップして、地道に改善を積み重ねていっただけなんです。

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Q:企画にオリジナリティを出す時に気をつけている点はありますか?

 例えば、ある企画書を作ってくれって言われたときに、日本の学生ってどうすると思いますか。近しい回答をまずネットで探したり、本屋に行って探したりするんです。要するに、人のものを探してコピーしようとする発想になるんですよ。一部の人間は、それを参考にして、そこに自分のアイデアを足して、掛け算してまた新しいものを作れる人もいますが、9割の人間はそれができてないと感じています。
 僕も独立した頃に、お客さんや師匠(と仰いでいる人)によくそう指摘されました。「お前の仕事のやり方は、すぐ答えを探そうとする」と。そこで僕はやっと気づいて、今は企画書も全部オリジナルで考えています。だから成果物のレベルが低いときもたまにあるのですが、それでもその方が絶対いい。今はプランを作って、絶対相手を納得させる自信があります。なぜなら、提案相手その人のためにゼロからオリジナルで企画を考えるからです。
 サービスに関してもそうでニュースアプリ業界に限らず、色んなサービスを広く見ています。広く見ているんですけど、あえてあまり深くは見ないようにしています。深く知ってしまうと念が移ってしまって、新しいものが生まれづらかったり、知らないうちに似たものになってしまうことがあるので、そこは気をつけているところです。

Q:若い方々へのアドバイスはありますか。

 近道するな、ということですね。答えのないところに自分で答えを出すときに、人のものをコピーするな、自分で考えろと。そうすると全てが変わる、と実感するのがすごく重要だと思います。
 あと、僕の後輩に常に言っているのは、帰ってコンビニ弁当を食べて、テレビ見て寝るんだったらムダ。その時間働け、ということです。20代でどれだけ働いたかで40代は変わる、という安藤忠雄さん(日本の建築家)の言葉があります。30代は、20代で学んだノウハウを組み合わせて価値を作る年齢ですよね。だから、もっと考えることに時間使ったらいい。
 本から学んで、それをコピーするのではなくて自分で考えることですね。だから、僕は今はビジネス書はほとんど読まないようにしています。20代の時は徹底的に読んでいましたが、ある程度読んだら、書いてあることの本質は全部同じだなと思って。だから、自分でやると切り替えて、全部自分で考えようと思いました。

 どの会社で働くかに関しては、ベンチャーに合う人、大企業に合う人は、人それぞれなので、自分に合う・合わないを考えた方がいいと思います。僕の場合は大企業とベンチャーの両方を見ましたが、結果的に僕にとっては大企業での経験は要らなかったと思っています。30歳前後で仕事と人生に悩む人は多くて、大した理由もなく何となく転職したいという人も多いのですが、僕の場合はこうだったよとアドバイスすることはありますね。

 

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