経営者にはさまざまなタイプがあります。会社の舵取りという重い責任を担っている点は共通するものの、それぞれの異なる強みを持っています。この記事では経営者の代表的な4つのタイプについて、わかりやすく解説していきます。
そもそも経営者とは
そもそも経営者とは、企業においてどのような役割を担っているのでしょうか。
ここでは経営者の役割や責任の範囲、間違えられやすい経営者と起業家の違いについて解説していきます。
経営者の役割
前提として経営者とは、企業の経営方針や経営計画を立案・決定するなど経営に関する全ての責任をもつ人の総称です。
経営者の役割は、全従業員や顧客、そして社会に対して自社の価値を提供することにより利益をあげて会社を成長させることや社会に利益を還元することです。
自社の価値を向上させて社会に利益を還元するために、経営者は自社の商品やサービスで顧客が抱えている課題をどのように解決できるか考えて、企業としての価値を明確にします。
また社会が抱える課題解決に必要なシステムや過程を新しく生み出すことによって、成果を上げることも経営者の重要な役割です。
もっとも経営者の役割や定義は企業によって異なるので、明確な定義があるわけではありません。
経営者の責任範囲
代表取締役など会社の代表として働いている経営者は、法令に反することを行ったり、不当に会社への忠実義務に違反して会社に損害を与えたりした場合は、原則責任を負わなくてはいけません。
また業務を遂行するにあたって重大な過失などがあった場合に、第三者である会社の債権者や取引先、株主に対して損害が生じた場合も賠償する責任を負います。
経営者と役員・取締役
経営者と役員・取締役の関係は、上司と部下のような上下関係ではなく協力関係です。
経営者は会社の最高責任者として、会社の経営方針を決定し、その実現を図る役割を担っています。一方、役員・取締役の役割は経営者の助言や監督、業務執行などです。経営者と役員・取締役はまとめて「経営陣」と呼ばれることもあります。
経営者と起業家の違い
そもそも起業家とは「0から事業をおこす人」のことを指します。そのため「ある事業を法人としておこした」時点で、その人は起業家と呼ばれるようになります。
一方で経営者は「すでにある事業を経営している人」という意味合いです。そのため起業家とは「0から事業をおこした経験があるかどうか」という点で異なります。
たとえば、ある会社に中途入社して代表取締役に就任した場合は「経営者」となります。一方で「0から事業をおこした」という人でも、その後会社を経営していれば「経営者」です。
経営者と個人事業主
経営者と個人事業主はどちらも事業の舵取り役です。
経営者は会社（法人）の代表者であり、個人事業主は法人格を持たずに事業を行っています。最初は個人事業主として事業を始め、その後に会社化して経営者になることも少なくありません。
経営者に求められる資質とは
優秀な経営者として事業を成功させるためには、次の4つの資質を有している必要があります。
【経営者に求められる4つの資質】
- 自分や会社にとって厳しい決断ができる
- 信念を貫き通す強さがある
- 新しい技術や知識に敏感
- 人脈形成が上手
それぞれについて以下で詳しく見ていきましょう。
自分や会社にとって厳しい決断ができる
企業においては経営者が物事の是非を判断して、その判断をベースに最終決断を行うところから、会社の業績がつくられると言っても過言ではありません。
経営者の判断と決断が正しければ会社は発展していきますが、判断と決断を誤り続ければ会社は衰退していきます。
経営者にとって、会社の成長と衰退を左右する判断ほど重要な仕事はなく、ときには厳しい決断を下すことができなければ会社が成長することはありません。
そのため経営者には、事業と組織の面において最適であれば、ときには非情であったとしても自分や会社にとって厳しい決断ができる力を備えている必要があります。
信念を貫き通す強さがある
経営者には、信念を貫き通す強さも求められます。信念を欠いている場合や、実践ができていない経営者には周りの人たちもついていきません。
経営状態が悪化して逆境や難しい状況に置かれたときでも、正しい信念を貫く姿勢を求められます。
新しい技術や知識に敏感
経営者は常に新しい技術や知識に対して敏感でなければいけません。
企業として業績を好調に保つためには、時代の先を読んで動いていくことが求められます。何年間も同じことを続けていたり、経営者として変化に乏しく時代の流れについていけなかったりする場合、一時的にはうまくいっていてもそういった経営者が運営している企業は少しづつ衰退していくでしょう。
常にアンテナを張っており、時代の先読みをして新しいビジネスを見据えて動くことのできる人こそが優秀な経営者と言えます。
人脈形成が上手
誰もが予期しなかった不測の事態によって、自社の業績が急速に悪化して経営危機に陥る可能性は0ではありません。万が一そのような状態になったときに、経営者がさまざまな業界の経営層と人脈を築いていれば、思わぬところから助けの手を差し伸べてもらえることもあります。
また近年では、テクノロジーの発達によって数年前までは常識であったことが全く通用しなくなっているというケースも珍しくありません。
時代の流れによって人々の価値観や考え方が変化するとともに、自社に求められるニーズも変化していくと考えられます。
常に変化する時代に対応するために、経営者はさまざまな人とコミュニケーションを取りながら、多様な価値観や考え方を取り入れてそれを事業に反映していかなければなりません。
こういった理由から、優秀な経営者として成功を収めるためには人脈づくりが上手でなければならないのです。
経営者に多いタイプとは？
経営者は、大きく分けて次の4つのタイプに分けられます。
【経営者に多い4つのタイプ】
- クリエイタータイプ
- マネージャータイプ
- イノベータータイプ
- ディールメーカータイプ
それぞれのタイプごとに優れている点や特徴は異なるので、以下で詳しく見ていきましょう。
クリエイタータイプ
クリエイタータイプの経営者は、自分自身が思いついた新しいアイディアで、斬新なプロダクトやサービスを生み出します。
そのためクリエイタータイプの経営者は、新しいアイディアが思い浮かびやすい環境に身を置き、クリエイティブな業務に集中できればより自身の強みを発揮できるというケースが多いです。
クリエイタータイプの経営者は、他のタイプの経営者と比較して次のような点で優れていると言えます。
【クリエイタータイプの経営者が優れている点】
- 理想主義
- 斬新なアイディアを思いつく
- 誰もが考え付かなかったプロダクトやサービスを生み出す
マネージャータイプ
マネージャータイプの経営者は、計画的に組織の運営や管理を行うことに優れています。
特に既存のルールや企業の秩序を維持しつつも、少しずつ改善や訂正を加えながら事業を運営していくことが得意です。
マネージャータイプの経営者は、他のタイプの経営者と比較して次のような点で優れています。
【マネージャータイプの経営者が優れている点】
- 計画的に企業の運営や管理を行う
- 戦略的な視点で事業の改善・拡大を行う
- 事業運営がうまくいくようなマネジメントシステムの構築
- 経営の安定化
イノベータータイプ
イノベータータイプの経営者は、既存のサービスやプロダクトに対して斬新な視点や切り口、組み合わせで新しい価値を創造していくのが特徴です。
行動力にも優れており、自分の信念を曲げることなく貫き通すことのできる精神的な強さも有しています。
イノベータータイプの経営者の優れている点は以下のとおりです。
【イノベータータイプの経営者の優れている点】
- 既存のサービスやプロダクトを斬新な視点や切り口、組み合わせで新しい価値を創造する
- 周りに流されることなく自分の信念を貫き通すことのできる精神的な強さがある
- 変化を恐れることなく新しい物事に積極的に挑戦できる
ディールメーカータイプ
ディールメーカータイプの経営者は、交渉能力に優れており相手に対して影響を及ぼす魅力をもっているのが特徴です。
またビジネスのタイミングを見計らうセンスを有しており、必要なタイミングで人と人を結びつけることにより新しいビジネスを生み出すことも得意としています。
ディールメーカータイプの経営者の優れている点は以下のとおりです。
【ディールメーカータイプの経営者が優れている点】
- 交渉能力を有しており会話で企業に対して利益をもたらす
- ビジネスのタイミングを見計らうセンスがある
経営者として成功するためのポイント
経営者として成功するためには次の3つのポイントが重要です。
【経営者として成功するための3つのポイント】
- リスクを恐れずにチャレンジし続けられる
- 社員や取引先などを信頼して仕事に巻き込める
- 熱意をもって仕事に没頭できる
リスクを恐れずにチャレンジし続けられる
経営者として成功するためには、リスクを恐れることなくチャレンジし続けられる精神力が必要です。
企業として成長するためには、経営者が失敗やリスクを恐れることなくすぐに行動できるような人でなければいけません。
仮に失敗やリスクを恐れて何も行動しなかった場合、チャンスを逃し続けて少しずつ企業は衰退してしまいます。
もっとも何も考えずに新しい物事にチャレンジするのではなく、入念な下調べや準備、失敗してしまった場合の対応策などを準備しておくことも重要です。
これまで成功してきた経営者の多くは、失敗を恐れることなく挑戦し続けて、失敗したとしてもそこから反省して新たなチャレンジに取り組んでいます。
社員や取引先などを信頼して仕事に巻き込める
社員や取引先などを信頼して、うまく仕事に巻き込める力も経営者として成功するためには重要です。
企業の経営者は優秀であり、社員に代わって自分であらゆる物事を進めてしまった方が成功する確率は高いでしょう。
しかし、それではいつまでたっても経営者ができる範囲の物事しか対処することができません。
自分の苦手なことやできないことを、社員や取引先などを信頼して任せることがうまければうまいほど経営者として成功する確率が上がります。
熱意をもって仕事に没頭できる
どれだけ頑張ったとしても、仕事がうまくいかず業績が上がらないことはあるでしょう。
そういった場面でも、熱意をもって仕事に没頭し続けることのできる人は経営者として成功しやすいです。
熱意をもって仕事に取り組んでいれば、その姿勢は社員や取引先にも必ず伝わります。逆に経営者がネガティブで後ろ向きの場合、周りの人たちも不安になり少しずつ人が離れて行ってしまいます。
熱意をもって仕事に没頭していれば、その姿勢を評価して徐々に周りに優秀な人たちが集まる可能性も高いので、経営者として事業を成功に導くことも難しくないでしょう。
まとめ
経営者は、常に経営に関する全ての責任を背負う重要な役割をもちます。
しかし成果が出たときの喜びは大きく、何よりもやりがいを感じられることは間違いありません。
経営者にもさまざまなタイプがおり、あなたの考え方に近い目指すべきロールモデルとなる経営者も必ず存在します。
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