縁の下の力持ち!COOの役割や必要な資質とは?

最高執行責任者の意味をもつCOO(Chief Operations Officer)。経営に対する重要な役割を担うことが多く、主にCEOの補佐をするポジションです。この記事では、COOの役割や社長、執行役員など他の役職者との定義の違いから資質までご紹介します。

目次[非表示]

  1. COOとは?
  2. COOの仕事内容
  3. COOに求められる資質とは?
  4. COOを目指すためのキャリアパスとは?
  5. まとめ

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COOとは?

COOは「Chief Operating Officer」の略称。日本語では「最高執行責任者」を意味します。これに似た用語として「CEO」が挙げられますが、CEOは「Chief Executive Officer」の略称であり、「最高経営責任者」を意味します。

CEOが企業経営の全責任を負う立場であり、企業全体のトップである一方、COOは「最高『執行』責任者」という訳語が示すとおり、経営陣が決定した事業方針のもと、日々の業務執行の舵取りと責任を負う立場にあります。

言うなれば、COOは“実行部隊のトップ”であり、CEOに次ぐ企業の“No.2”にあたる役職です。日本企業では、CEOが取締役社長や取締役会長を兼任するケースが多く見られますが、同時に、COOが取締役副社長を兼任するケースも少なくありません。

COOと役職者の違い

COOに似た役職として、「執行役員」と「代表執行役」が挙げられます。執行役も代表執行役も、業務を執行する機能と経営を監督する機能を分離するために設けられた、日本独自の役職です。

執行役員とは、取締役会や理事会といった経営陣が決定した事業方針に基づき、業務の執行を担う責任者として企業が選んだ人のことです。取締役が執行役員を兼任するケースも多く見られますが、取締役には会社法の裏付けがあるのに対し、執行役には法的な裏付けがありません。COOにも法的な裏付けがないことから、そうした点もCOOと執行役員は似ています。

また、代表執行役とは、会社法に基づく指名委員会等設置会社となった企業が、執行役の代表者として選んだ人のことを指します。対外的には、代表取締役が企業の経営を代表する立場であるのに対し、代表執行役は企業の業務執行を代表する立場にあたります。いずれにしても、COO・執行役員・代表執行役の類似点は、業務執行の立場にあることです。

COOの仕事内容

COOが企業の“No.2”と位置づけられることが指し示すように、COOの役割を一言で表すとするなら「経営陣のサポート役」となります。

先にもお伝えしたように企業のトップであるCEOは、企業経営に対する全責任を負う立場にあります。「透明かつ健全な経営を実現させる」ことが、CEOに課せられた責任です。一方のCOOは実務のトップであるため、その役割はCEOをはじめとする経営陣が策定した事業方針を軸に、「透明かつ健全な経営を実現させること」と言えます。

事業全体のビジネスプロセスの最適化

経営陣が策定した事業方針を軸に、透明かつ健全な経営を実現させるためには、ビジネスプロセスの最適化が不可欠です。

言うまでもなく、やみくもにビジネス展開しても成功はしません。COOは掲げられた事業方針が決して“絵に描いた餅”にならないよう、事業を適切に、なおかつ確実に進めていくためのプランを作成する役割を担います。

全社戦略/事業計画の策定・実行

ビジネスを成功に導くのは、企業全体の力であるはずです。そのため、ビジネスを最適化するには全社横断的な視点を持ち、企業全体に対する戦略を練らなくてはいけません。

そして、ビジネスプランを策定し、実行に移すための舵取り役を担うのもCOOの役割です。また、練りに練ったプランであっても、想定外の出来事は付き物です。策定したビジネスプランを単に推し進めるだけでなく、想定外の出来事が生じた際のリプランニングやリスク回避、その決定を下すのもCOOの役割です。

予算、KPIの策定・管理(PL管理)

適切なビジネスプランを描くためには、予算やKPIの策定・管理も欠かせません。予算を適切に管理し、KPIの策定をし、その達成に導くのもCOOの重要な役割です。特に予算の管理に関しては、COOと同様に企業の“No.2”と目されることの多い、「CFO(Chief Financial Officer)=最高財務責任者」の存在も重要です。

COOが業務を執行することの最高責任者であるのに対し、CFOは財務のトップです。どちらも企業における重要なポジションですが、COOが策定したビジネスプランを実行に移すためには、CFOが管理責任を負う予算が必要になります。

つまりは、企業のトップであるCEOが策定した事業方針に基づき、実際に利益を出すためのプランの策定と執行をするのがCOOの役目、それを会計面や財務面でサポートするのがCFOの役目と言えるのです。

組織やプロジェクトの統率

ビジネスプランの策定と舵取り、それに対する責任を負うのはCOOの役割ですが、実際にビジネスを遂行するのは従業員の一人ひとりです。ビジネスを成功させるためには、COOは部下を適切にコントロールし、率いなければいけません。

経営戦略の具体化・推進

部下を適切にコントロールするには、策定したプランを従業員に深く理解させ、納得させる必要があります。それを怠ると、事業成功に向けた足並みがそろいません。

COOは、ビジネスプランをより確実に執行していくため、その戦略をわかりやすく具体化し、部下に伝え、推進していく役割も担います。また、部下がスムーズに業務を推し進められるよう、COOは、時にメンバーの能力を引き延ばすための育成・マネジメントを行うこともあります。

CEOのサポート

繰り返しになりますが、COOは、CEOを筆頭とした経営陣のサポート役であり、彼らが策定した事業方針の実行役を担います。優秀な実行役であるためには、部下を率いるための統率だけでなく、経営陣の考えを徹底的に把握するのはもちろん、経営陣の考えを実現するべく、企業を取り巻く環境も把握する必要があります。

“サポート役”というと、どこか黒子のような役割に聞こえるかもしれませんが、そんなことはありません。COOは経営陣の方針を従業員に浸透させる橋渡しであり、経営陣の方針を具現化する頭脳であり、足腰でもあるのです。

COOに求められる資質とは?

COOの役割からも見て取れるように、COOには経営陣が策定した事業方針を深く理解し、それを実際に執行していくビジネスプランへと転換していく「把握力」、そのビジネスプランを実行し、推し進めるための「推進力」、そして、部下の力を最大限に発揮させ、ビジネスを成功に導くための「リーダーシップ」が求められます。

事業責任者として短期収益化を目指し実現する視点

企業全体のトップであるCEOは、企業経営全体を見つめた事業方針を策定します。それゆえに包括的な視点を持ち、数年先といった中長期的な時間軸をベースに事業展開を考える傾向にあります。CEOの中長期的な視点があるからこそ、企業は道しるべを得ることができ、事業を展開していけるのです。

一方、ビジネスを継続するためには、短期収益化を目指すことも不可欠です。そこで、COOの力が求められます。COOは実務の責任者として、より成功にコミットする必要があるのです。また、COOが短期収益化を目指す視点を持つことにより、CEOはより未来を見据えた経営戦略に注力することができます。

事業成長シナリオのプランニングスキル

COOには部下を適切にコントロールし、力を最大限に発揮させるためのリーダーシップが求められます。その一方、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進が求められる昨今では、テクノロジーと人的資源の双方を掛け合わせたビジネスプランが必要です。

テクノロジーは事業を効率化するにも、イノベーションを創出するにも不可欠ですが、企業が従業員の集合体である以上、人的資源を疎かにはできません。その双方を掛け合わせ、最適化するため、COOにはリーダーシップと同時にバランス力、さらにはテクノロジーと人材の相乗効果を生み出すためのマネジメントスキルも求められます。

自社を投資先としてアピールする予実管理の経験

COOは日々の事業を執行することの最高責任者ですが、実務のトップであり、企業の“No.2”である以上、経営の視点を持つことも必要です。そこで求められるのが、予実管理、つまりは予算実績管理の経験です。

予実管理の徹底は、自社の経営実態を徹底して把握することと言えます。そして、自社の経営実態を徹底して把握することは、自社を投資先としてアピールするにも、反対に不利益が生じないようリスクマネジメントをするにも効果的に働き、COOとして、より企業を成長させられるのです。

COOを目指すためのキャリアパスとは?

COOは、CEOや代表取締役社長と同様に、エグゼクティブクラスの地位にあたります。

実際にCOOを目指すには、どうすればいいのでしょうか。ここでは、キャリアパスの事例をご紹介します。

転職を通じたキャリアアップ

ハードルの高さを感じがちなCOOへのキャリアアップですが、こうしたクラスの求人は増加傾向にあります。その理由は日本の喫緊の課題である少子高齢化に加え、アメリカ型の成果主義が日本企業にも浸透しつつあるからです。

少子高齢化により、人材不足の課題を抱えている企業は少なくありません。同時に年功序列の仕組みが見直されつつあることから、各企業は他社で経験を積んだ即戦力を求めています。そのため、COOをはじめとしたエグゼクティブクラスにおいても、転職希望者を求める企業が増えているのです。

参考までにCOOへのキャリアパス事例についてご紹介します。

Aさん 38歳

動画プラットフォーム運営企業 事業開発担当

ITベンチャー企業 COO候補

経歴:大学卒業後、テレビ局へ入社し視聴率アップに携わった後、マーケティング支援会社にてテレビCMのプロジェクトマネージャーへ従事しプロダクト認知拡大に貢献、動画プラットフォームの運営企業にて事業開発に従事した後、ITベンチャーのCOOへ。

Bさん 40歳

情報インフラサービス企業 コーポレート部門 部長

D2Cベンチャー COO候補

経歴:大学卒業後、大手監査法人からキャリアをスタートさせPFI事業の現場主任を担当した後、経理、財務、法務、IRなどの現場実務を経験し経営管理部門責任者としてファイナンス管理業務全般を担当した後、D2C企業のCOOへ。

Cさん 39歳

チャットボット企業 事業責任者

金融ベンチャー企業 COO候補

経歴:大学卒業後、広告代理店やITベンチャー企業にてビジネスサイドや事業の責任者を経験し、複数事業の立ち上げ、牽引を経験したあと、金融教育ベンチャーのCOOへ。

成果を出して出世する

もちろん、長く務めた企業内で出世し、幹部の抜擢によってCOOに就任するケースも見られます。この場合、営業や開発、経理といった部門の部長クラスから抜擢されることが多いようです。

一方、COOに求められるのは、それまでに従事してきた専門的な知見にとどまらず、幅広く企業全体を見据える視点と経営の視点、さらには部下を率いるためのマネジメントスキルも不可欠です。これらのトータルスキルを磨き、アピールすることが、企業内での出世によるCOOへの抜擢につながります。

取引先などからヘッドハンティング

転職を通じたキャリアアップでもお伝えしたように、各企業は即戦力となり得るCOOにふさわしい人材を求めています。そのため、人材の実績をよく知る取引先からのヘッドハンティングによるCOO就任といったケースも少なくありません。

まとめ

COOを目指すには複数のキャリアパスが考えられますが、特にスピード感を求めるなら、転職支援サービスの利用がおすすめです。

そんなCOOを目指したい人は、転職支援サービスを活用してみてはいかがでしょうか。中でもハイクラス向け求人を専門に扱うBNGパートナーズはおすすめです。

BNGパートナーズに相談することで「これまでのキャリアを考慮したうえで、どうすればCOOになれるのか」を明確にできます。

また、ハイクラス向け求人を長年扱ってきた経験をもつコンサルタントが対面での面接を無料で行ってくれるため、COOに興味がある人は一度相談してみるとよいでしょう。