「社長も人事も「志」を持つことが大切」
カラフルボード株式会社
経営企画Div.マネジャー 山下元一郎

■社長と人事、二足のわらじ

Q:まず入社するまでをお話しいただけますか。
弊社の社長である渡辺に出会ったのは高校のときです。2人とも高知県の出身で同じ高校に通っていました。大学は渡辺が慶應大学、私が横浜国立大学と距離的には近かったのですが、会うことはなく、卒業してから十数年ぶりに高校時代の友達のライブで会いました。当時、渡辺は別の会社で働いていて、私は地元高知の実家で、共和砂利株式会社という祖父の代から続く会社を継いでいました。実家では最初、それこそショベルやユンボに乗り、2年後に営業、内部関係の業務をやり、31歳のときに社長を交代しました。

Q:渡辺さんとは、高校時代から仲がよかったのでしょうか。
クラスと寮が一緒でした。うちの高校は中高一貫校で、そこに2人とも高校から入ったんです。学校は高知市内にありましたが、どちらも家が県の西部にあって、通学に2時間以上かかるので寮に入っていました。

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Q:久しぶりに会って、すぐに一緒に働こう、という話が出たのでしょうか。
いえ。それこそ渡辺は会社を作ろうと考えている段階で、おもしろそうなことなら一緒にやりたいねぐらいの感じで、ここまで手伝う予定はなかったんです。もともと渡辺が会社を作るときに出資していて、私の知人を紹介するぐらいの関わり方で、東京に来る機会があると会って話をしていました。そこで「急に忙しくなって人が増えているのだけれど、会社としてやるべきところに手が掛けられない。どうしても後回しになる部分ができている」と聞き、それなら手伝えることがあるんじゃないかという感じで、今年の2月にジョインしました。

Q:東京と高知は、どれぐらいのスパンで行き来なさっていますか。
2週間ぐらいですね。今日も先ほど高知から帰ってきたところです。

Q:高知から戻ってきたら会社の中が変わっていた、みたいなことはありますか。
毎回、人が増えていますね。ただ、その処理は高知にいる間も含めて私がやっています。今度こういう人が入るということも、メールなどで連絡があります。

Q:では、東京にいる間、高知の会社はどなたが管理されているんですか。
現在は組合で業務していて、専務と工場長です。

Q:高知の会社でも、管理系の仕事はなさっていましたか。
実際の事務は事務員がいますが、私がすべて確認しています。

Q:この会社に参加することにした決め手はどんなことですか。
私は地元高知県で仕事をしていて、いろいろな地域の課題を考える機会が多いです。具体的には、地元の青年会議所に入って地域をどうやって活性化していくかを考えていました。私には、地域からそこに住んでいる人たちを幸せにするというビジョンがあったのですが、渡辺の場合、イノベーションや革命によって世界中の人々が幸せになるというようなビジョンを持っていました。それは、私の中では新しい視点で、かつ、ビジネスによって人類の幸せを考えるという点に共感しました。

Q:スタートアップに対するカルチャーショックなどはありましたか。
人の採用の仕方ですね。私がいるのは基本的には田舎だから、例えば、あそこであいつが遊んでいるから、何か仕事がないかとか、送られてきた履歴書見ると、だいたいどこの誰で、どういうことをやっているかが全部分かってしまうんですよ。都会では、まったくそういうことがなく、どこから誰が来るかが分かりません。そういう違いが面白いですね。

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■一気に人が増えるフェーズ

Q:カラフルボードの会社設立から山下さんが入社するまでにはどのぐらい経っていましたか。
3年です。それまでは渡辺と、もう1人社員がいて、2、3人で別の事業をやっていたんです。2014年11月にSENSYという人工知能の研究を生かしたサービスを始め、そこからスピードアップして人が増えてきました。

Q:渡辺さんがわざわざ高知から山下さんをお呼びになったのには、何か理由がおありだったのでしょうか。
やはり信用、信頼の部分だと思います。仮に今、支払い業務が起こったとして、会社のお金を丸投げするのに、きのう会った人には任せ切れない。かといって、大企業のような役割分担もできません。だから、パーンと仕事を振っても、それを確実に、裏切ることなくやる、という部分が一番大きいのではないでしょうか。ただ、もっと会社が大きくなって、人が増えてきて、いろいろなことがきちんと組織化されてくれば、また別の形になると思います。

Q:入社して最初に取り組んだのはどんなことですか。
そもそも人が足りなくて、会計書類から何から間に合っていない状態でしたので、最初は人事というよりも賃金台帳や社員名簿を整えるところから順番に始めました。私が入社してすぐ、人をどんどん入れていったので、今度はその人たちとの契約もやるようになりました。

Q:2月から4月の間で会社としての形作りをして、人がたくさん入ってくる準備をしたということですね。その後、一気に人が増えたのですか。
4月に2人、5月に2人が入りました。ここ3か月でアルバイト3人、社員が5~6人とどっと増え、社員数が倍になりました。基本的には新卒採用はないので、みんな前職を持っています。

Q:今、どこもエンジニアの採用にはかなり苦しんでいると聞いていますが、その中で御社が今年に入って何人も採用できているのには何か秘訣があるのでしょうか。
実際、人工知能で採用したエンジニアはいないのですが、やはりこれからの部分で来てくださる人が多い気がしますね。

Q:採用の基準はどのようなかたちで決めていきましたか。
エンジニアであれば、もちろん能力的なことをクリアしていることが前提ですが、基本的にはやる気の部分が大きいです。

Q:一気に人が増えるフェーズでは、何かしらひずみも出てくるように思いますが。
やはり人事で最も重要なのは、コミュニケーションを取ることだと考えています。ただ、忙しすぎてコミュニケーションが十分ではありません。新規でベンチャーに入ってくる人は、やる気と同時に不安もあるはずです。こちらも余裕のある状態ではないので、意思疎通を図らないと仕事のパフォーマンスを引き出すことができません。ただ、常に新しい人が入ってきている状態で、新しい人にしてみれば最初からいる社員だけれども、実はその人も入社1か月という状態が続いています。両者をうまく連携していくことが課題だと考えています。

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■エンジニア中心組織の人事の苦悩

Q:スタートアップの人事は、どのようにして学んでいったのでしょうか。
先ほどの青年会議所という団体の経営者の集まりです。青年会議所は全国組織で、この間も横浜で会があり、話を聞きに行きました。あと近いところでは、東京で会社をやっている同級生にも相談しました。

Q:モチベーションの管理が難しいのではないでしょうか。
そこはエンジニアのマネジャーにお願いしています。マネジャークラスはだいたい会社に来てもらうようになっていますから。極端な話、何行プログラムを書きましたと言われて、それがどれぐらいの仕事量なのか、適正なのかさえ、私には判断できないんですよね。

Q:創業期からジョインされている方でしょうか。
はい。その人も完全にうちの社員ではなく、会社を自分でやっている人でした。

Q:御社ではそういう方が多いのですか。
今はだいぶ減ってきています。社員として採って、やっと完全にコミットしていく感じですね。

Q:会社にどんどん人が入る段階では、秩序や制度的が乱れがちですが、何か心がけていることはありますか。
就業規則を整理し直しました。直さなければいけないというより、そもそもなかったんです。でも、まだまだ足りないと思います。今、本当に成長過程ですので、また新たに形になっていくと思います。

Q:評価制度についてはいかがですか。
人事面談と等級を作りました。今は、普通のメンバーと、チームリーダーと、マネジャーとエグゼクティブという4つの大きなカテゴリーがあって、それぞれ2段階になっています。ただ、ここのランクの人たちにはこういう仕事を求めるというような、そういう制度設計的なところまでは至っていません。

Q:組織作りで気を付けていることはありますか。
適材適所で人を配置できるかどうかですね。この8月末までは、うちのSENSYのプロダクトの開発の方に完全に注力していて、エンジニアであるとか、プロダクトの企画ができるデザイナーさんであるとか、そういう人材に思い切り資本を投下しています。開発が終わったら、今度はマーケティングや営業にウエートを置くイメージです。

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■志をもって臨む姿勢が大切

Q:経営者としては、組織設計をどのように考えていますか。
いろいろな社長や経営者を見てきて、できる人はすべからく自ら行く、と気づきました。高知はお酒の文化で、宴会が多いのですが、できる、慕われる経営者ほどそういう席で座っていません。相手から来るのを待たずに必ず自分からコミュニケーションを取りに行っています。やっぱり自分から行かないといけないと思いました。たとえ必要な情報であっても待っていて自然に上がってくるわけではありません。自分から情報を取りに行く姿勢は結構重要だと思います。

Q:人事という側面でも会社作りの側面でも、それは重要ですね。
人と会社って、直接的につながっているものです。自分だけいいパフォーマンスを出そうとするのではなくて、自分がその組織の中でどういう役割を担っているかということを理解する。みんながみんな、周りも見えて、自分の役割が見えていて、ちゃんと思いやりとか、気づきとか、気配りとかができるのが理想ですね。

Q:最後に、人事や経営にかかわる方たちに向けてメッセージをお願いします。
やはり志を持つことです。人事は会社の中で重要なポジションです。会社をやっていくのは絶対人ですし、その人と一緒に何かをやる際に重要なのが、志だと思っています。志は、目標とか目的というような意味合いのほかにも、思いやりとか、優しさとか、そういう意味も含まれます。すごく好きな言葉です。

Q:ただ目標に向かって頑張るだけじゃない、ということですね。
一般的には、それが志の意味だと思います。けれども、実は寸志とか、あるいは配り物をする際に入っている「志」とか、そういう意味も含まれています。会社を経営する上でも、人事部長という部門のトップとしても、志を持ってやるということがすごく大切だと思います。

 

山下元一郎 プロフィール
好きな食べ物 カレーライス
好きな言葉 「日々是好日」
好きな場所 四万十