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「リラックマを愛する武闘派エンジニアに聞く、LuaやErlangを学ぶ理由」株式会社ネットプライスドットコム チーフアーキテクト 加藤寛之


 

 

略歴
東京大学を卒業後、2008年より株式会社アトランティス社に最高技術責任者として
参画し、無料の広告配信サーバーAdLantisの構築などを行う。
2011年より株式会社ネットプライスドットコムにてR&Dや新規事業の企画及び立ち上げを行い、現在はBEENOS本部にてエンジニアスペシャリストとして新規プロダクトの開発を行う。

Q:リラックマ大好きですよね?

そうですね(笑)
僕の相方ですから。
でも、僕、こう見えて、根は武闘派タイプだと思ってます。

Q:リラックマを抱きながら、武闘派ってのも、なかなかイメージしづらいのですが?

率先しては言ってませんが、中学時代は陸上部で中距離ランナー東海4県で五本指に入るくらいの成績は残しましたし、少林寺拳法の2段のブラックベルトホルダーです(笑)
陸上も少林寺もエンジニアも、自分と向き合って極めるという点では似ているのかもしれませんね。

 

Q:どうして陸上+少林寺が、エンジニアになったのですか?

実は大学には7年間在学して勉強(?)したのですが、
学業と並行してエンジニアの仕事もしてました。

大学の授業の課題でGUIのアプリを作ったりした経験から、自分でVBでスロットマシンを作ってみたりして、それをぶら下げてオレガという会社の面接に行ったら採用してもらえて(笑)

オレガではサイボーズのような社内ツールの自社パッケージ開発をしていました。自社でフロントから、最後はバックも担当していました。言語はJavaでした。
当時はフロントエンドもそんなに良いツールがそろっていた訳ではありませんでしたので、頑張って一行一行JavaScriptを書いていましたね。
今思うと、あの頃は大変だったなぁと思います。あとはスプレッドシートのような表を作らされたりしてました。

その後、幾つかの職場やプロジェクトを経験して・・・・
入学から7年が経過して(笑)

で、一応、就職活動をして大手企業に内定をして入社するはずだったのですが、ちょっと事件がありまして。


加藤さん 写真①

 

 

Q:そこ詳しく聞きたいです

 

ま、事件というほどのことではないのですが。
内定式であった同期の技術レベルに失望しちゃったんです。
当たり前ですけど、実際に仕事でプログラミングをしていた僕と、未経験から学ぶ予定の理系大学生と。なんか一緒のスタートラインに立つのは意義が薄いような気がして。
在学7年のキャリアの差ですね(笑)

ちょうどその頃、数年前に一緒に仕事をしていた先輩から創業に誘われて。アトランティス代表の木村さんですけど、すごくデキル人だと肌で感じてましたし、
普通に就職するより勉強になると思って、決めました。

3月の末にオフィス、といっても3人くらいしか座れないスペースしか無かったです。そこで、何やろうか?と話をしていて、幾つか出たアイデアの中で、アドサーバーをやろうと決めました。

木村さんが、広告系に強かったので、アドの方を攻めて行くときに、どうしようかと考えたところ、アドマーケットプレースというものがアメリカで流行っていましたので、
じゃあそれを真似しようとなりました。

アドマーケットプレースは簡単にいえばオンライン上でクライアントが直接メディアの枠を購入できるものです。
海外のエンジマークにしたサイトを見ていてもあまり良い広告枠が無かったので、まずは枠を押さえようと考えました。

なので、まずは無料のアドサーバーを展開することにして、数か月以内に形にしてリリースするぞとなったのですが。

toCでサービス立ち上げた経験がなかったので、それはそれは苦労しました。
例えばドメイン契約する、サーバーを買う、データセンターと契約するとか、何にも知りませんでしたから。
最初は「えーっと、何からはじめよう?」となりましたね。


加藤さん 写真②

 

 

Q:技術的に苦慮した点を教えてください

 

いま思えば「結果オーライ」だったのですが、始めてRuby on Railsに挑戦したことです。Ruby自体もほとんど始めてでした。
本を読むところからはじめたのですが、まだノウハウが、特に日本語だとあまり無かった頃でした。

今考えれば、やるべきではないですね(笑)

流行しそうなのは海外ニュースなどでわかっていました。
Ruby on Railsをやっていけば、最先端の技術をやっているエンジニアしか入って来れない環境でしたら面接のときに良いフィルターになるとも思っていましたので。

ただし、どうすれば良いか、どう作れば良いか、ベストプラクティスが無かったので、そこは苦労しました。
あとは広告業界が全く知りませんでしたので、そもそも媒体ってなに?といったレベルでした。
ですので、自分が何を作れば良いのかわからなかったです。

あとは、アドサーバーなので、絶対に落としてはいけないし、データもロスしてはいけない。
自分でちゃんとデータベースをチューニングした経験も少ないし、自分の開発マシン以外にサーバーを立てて試した経験も無かった。
実際にデータセンターで稼働するサーバーもその時初めて見ましたから。こんなにうるさい音なんだと思いましたね(笑)

そういうこともあり、冗長性であったり、スケール性を考慮してシステム全体のアーキテクチャを設計することが全くの初体験でしたので、
痛い目にあいましたね。仕様を自分の中で固めることができずに、苦労しましたね。

今考えると、あんなに無知の状態よくやったなと思いますね。
当時は完全に勢いでした。

 

 

Q:それらの経験を踏まえて、現在心がけていることは何ですか?

 

ベストプラクティスとして存在するということです。


加藤さん 写真③

先ほどお話しした通り、僕がアトランティスを立ち上げた時は、ベストプラクティスと呼べる存在が十分には居ませんでした。いろいろ教えて頂ける、
手伝っていただける先輩は社外に居たのですが、ベストプラクティスと呼べる方が近くに居れば、もっとスムーズに出来たことが多かったと思います。

何が正解なのか、何が間違っているのか、どんな危機が存在しているのか、などが全く判断できずに、立ち上げてからの半年は、ほとんど寝れませんでした。

ですので、僕の経験も、経験していない領域も自ら取り込んで、社内の技術者にとってベストプラクティスを持っている人材でいることを心がけています。

例えば、一年に一つは新しい言語にチャレンジしていています。
最近はルアー(Lua)、昨年ですとアーラン(Erlang)で、技術者の中でもマニアックなものです。

ルアー(Lua)に関しては、組み込み系のものに使用される言語です。でも今であれば、iOSアプリや、アンドロイドアプリに組み込めるような事ができます。
アーラン(Erlang)はエリクソンという携帯会社が開発しています。銀行の機関系のシステムや、携帯電話交換機で使用されていた言語で、
まあとにかくSLAが高く、かつ稼働し続けるシステムを作る際に、社内で言語を作ってみようという経緯で生まれたものです。

そういった感じでそれぞれ言語はいろんな目的や経緯があって作られているので、他の言語を学ぶことでまずその経緯を知ることができるのと、
あとは言語によって得意なことが違うので、今の自分のスキルセットで上手くいくものでも、3年後には通用するかわからない。

なので、常に学び続けるっていう事を自分に戒めていますね。

いま僕が担当するプロジェクトは、R&Dの要素を含んでいることが多いので、必ず何か一つ新しいものを取りいれてみるようにしています。
その成功や失敗の積み重ねが、ベストプラクティスで居続けるためには不可欠だと考えています。


加藤さん 写真④

 

 

Q:読者のエンジニアの方に、伝えたいことは?

 

エンジニアって職業だってことですね。

 

 

Q:そりゃ、そうですが・・・・もう少し詳しく教えてもらえますか?

 

ま、すごく当たり前な話なのですけど。
ほとんどの方は会社に属していて、フリーランスの方でも会社から仕事を請け負ってやってますよね。

つまり、エンジニアが職業であるかぎり絶対にビジネスとは切り離せないと思っているんです。

今で言うと、僕自身もアルバイトしていた時と比べても技術の面ではものすごい進化をしています。そして、「作る」という敷居はすごく下がっていると思います。
具体的に、「作る」においては、海外にアウトソーシングした方が当然安いという面もあります。

じゃあ、そういったときにエンジニアは、これからどうすればいいのかと考え、「お金をもらっている職業としてのエンジニア」として改めて考える必要があります。

つまり。
少なからず、ビジネスと関わっていかなければいけないということです。

ですので、僕がいま学んでいる技術的なことも、その技術を用いればどんなサービスが作れるかとか、
どんなユーザーエクスペリエンスが生み出せるか、というのが根底のモチベーションとしてあります。

ですので、学ぶ時も「今の技術ならどう実現できるか?」という所から考えていきます。

あと、例えば、ビックデータという、バズワードがありますけど、あれもすごいチャンスだと思いませんか?
簡単に言えば、本当に企業の根幹となる数字をエンジニアが触る事ができるわけですよ。
今までは某社長が「俺の経験から言って絶対にこうだからさ」と言っていて、下の人間が上手く回らないことを知っていながら、
「はいはい」と従っていたのを、もう少しロジカルな観点から経営に参加できるチャンスがあるという訳です。

なので、そういう意味でそのビックデータや、データサイエンティストの存在の流れを捉えて欲しいと思っています。

僕の理想では、エンジニアに限らず、全てのビジネスマンが最低限持つべき「職業としてのエンジニア」というのが生まれているのだと思います。

 

Q:最後に、一点だけ、冬もビーサンなのですか?

 

違います。
武闘派も冬は寒いのです。

 

加藤さん 写真⑤

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