COO-最高執行責任者(Chief Executive Officer) への道のり

「一つ一つはムダじゃない。自分のものにしていく」

一般財団法人日本フットサル連盟Fリーグ
 松崎康弘

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一般財団法人日本フットサル連盟Fリーグ
最高執行役員(COO) 松崎康弘

1954年1月20日生まれ
中央大学を経て、新東京国際空港公団(現成田国際空港株式会社)に勤務。出向した日本航空のロンドン勤務中に審判資格を取得。1993年1月に1級審判登録され、1995年から2002年までJリーグの主審として活動。2006年8月から日本サッカー協会審判委員長(理事)。2012年6月から現職。  

 


COOまでの道のり

 小・中学校ではサッカー部がなかったので、高校(千葉県立千葉高等学校)からサッカーを始めました。その後、中央大学を経て、新東京国際空港公団(現成田国際空港株式会社:NAA)に就職しました。最初は総務からスタートし、企画、鉄道会社や航空会社への出向、経理、経営管理など幅広く全体を通して仕事をしてきました。

 2006年にサッカー協会理事に就任しましたが、その直前は航空保安課長として9.11後の空港セキュリティーを見ていました。NAAには29年間勤務しましたが、その傍らサッカー審判資格の取得し、90年~92年の英国勤務の間にイングランドの一級審判員に昇格しました。帰国後、日本の1級審判として、2002年までNAAでの仕事を行いながら、Jリーグ主審や国際副審をしていたので、ほとんど休みがありませんでしたね。

 現在では、プロフェッショナル(フルタイム)審判が13名いますが、その他の審判は別の仕事をしながら審判をしています。Jリーグ担当の審判員は約100人(主審はJ1担当で約20人)ですが、資格取得、技術向上のためにレフェリーでもトレーニングを行わないといけません。審判は、その技術・体力・知識、実力で評価されます。以前は、審判がそれぞれ個人でトレーニングをやっていました。試合日だけでなく、トレーニングでも結構自分の時間は拘束されましたね。現在は日本サッカー協会にレフェリー専属のフィジカルトレーナーがいて、様々な指導をしてくれます。審判も育ちやすい環境を作らなければ、プロサッカー選手だけが実力・経験を積んでいたらバランスが取れなくなってしまいます。レフェリーだけアマチュアでは今後の運営にも支障をきたしかねません。

 2006年に日本サッカー協会の審判委員長に就任する事がきっかけで、NAAを退職。仕事をサッカー1本に絞る事にしました。レフェリーであれば二足のわらじでできたかもしれないですが、審判委員長として全体的に日本サッカーのために施策を考える事、実行に移す事が求められたので、片手間にはできませんでした。いろんな施策を実行に移していきました。やり過ぎだったかも知れませんがw

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経営と運営

 審判委員長になってやったことは、簡単なこと。世の中の原則である競争原理や透明性など当たり前の事を審判の世界に取り入れたのです。様々な反対意見などをいただきました。しかし一つ一つ施策を打ち、改善していきました。審判の世界がよく分からない。審判は密室だ。判定が分からない。それが世の中の審判を見る目だったと思います。それじゃ、審判の世界はこうなっている。判定は競技規則に当てはめ、また審判がこう見たから、そのようになった。審判の判定が間違っているなら、間違っていたと言う。まずは、そんなことです。

 審判の仲間を増やすため、競技規則の理解を深めるため、eラーニングによる毎年の更新講習を実施したことは面白い施策でした。自宅やさまざまな場所で講習を受けられるようにする。現在では登録審判の数は25万人。そのうち6万人の人がeラーニング講習で勉強しています。「講習会場まで遠い。時間もない。審判の勉強をあきらめよう」ではだめですね。

 また、年齢や性別で資格を判断するのではなく、その人のもった実力で審判として活躍してもらいたいと考え、審判定年制、受験年齢を撤廃しました。小学生でも4級にチャレンジし見事合格している方も出てきています。以前までは高校生以下は3級までしか取れませんでしたが、スキル・知識があれば誰でも2級、そして1級にもチャレンジできるし、50歳でもしっかりと走れ、判断できるのなら、他の審判との競争に勝って、Jリーグで笛を吹いてもよいと思います。まだ第4の審判員ですが、女性審判がJリーグでデビューしています。

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人間は有機的組織

 昨年6月、Fリーグ(日本フットサルリーグ)の最高執行責任者(COO)に就任しましたが、まずは、リーグ、クラブの経営面・運営面を改革していかないといけないと考えていました。運営面はそれなりに評価されますが、特に経営の面では相当の改善が必要だと考えています。

 現在は、森永製菓株式会社のウイダー様が冠スポンサーとなっていただいていますが、他のスポンサーやパートナーの方に十分なお返しができるリーグにしていかなければならないと思います。一方、リーグは金銭的利益を追求する組織ではありません。ただ収入を増やすということではなく、正しい方向で、十分な収入を得られるように、そして、それをフットサルに還元できる。フットサルが更によいものになっていくという仕組み化をしていかないといけないと考えています。

 また運営に関しては試合当日の設備やスケジュール・フットサルのブランディング・プロモーションなどもやっていかないといけません。幸いにも若く優秀なスタッフがいるので運営などに関してはとても精力的に動いていただいています。

 組織を束ねていく中で人間は有機的組織です。無機的な組織であれば1はどんなにかけても1ですが、人間は有機的存在ですので生産性は2倍にも10倍にも20倍にもなります。経営面、運営面でもさらに改善しきたいですね。

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COOを目指す方へ

 何事も色々な仕事を経験する事だと思っています。私も総務・経理・経営・運営などの仕事をNAAの勤務時代に経験させていただきました。勤務期間に鉄道会社に出向する事もあり、その時期に会社を作るところから組織を整備するところまですべての業務を経験しました。大学は文系でしたので、経営に関しての知識はほとんどなかったのですが経理を経験する中で簿記を勉強したり、一つ一つの業務は初めて経験するものばかりで、あまり得意ではないものもありましたが、そこで逃げていては何も解決しないし、成長もしません。ここでは「一つ一つがムダではない」と感じました。

 日本サッカー協会でも旧態依然とした硬直した審判の組織をまずはメンタリティー・価値観を変える事を最初に着手していきました。また2012年6月からFリーグ最高執行役員(COO)に就任するにあたり様々な施策を行ったのは前の章でもお話をしました。

 今年は、「非日常空間の提供」なんて、大それたことを考えています。Fリーグの大会に来たら、エキサイティングなフットサルの試合、そのほかにも、なんか楽しい事がある。いろいろな事が経験できるなど普段経験できないさまざまな事を提供したい。そして来場された方にそれを楽しんで欲しいと思っています。非日常空間を提供していき続けると「非日常」が「日常」になってきます。「フットサルを見に行く」というこれまでの非日常を日常にする事によって、観客の増加、フットサルの普及を目指しています。

 様々な事を経験すると、自分には向いていなさそうな事があると思います。しかし、これまで経験してきた良い事、悪い事が重なって、今の自分ができています。一つ一つが無駄ではないと信じて行動する事で、将来目指す目標に一歩ずつ近づいていくのではないでしょうか。

 

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