最高執行責任者(Chief Executive Officer) への道のり

「苦戦しているからこそ意味がある」 株式会社インクルーズ 専務取締役COO 山崎健司


 

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株式会社インクルーズ
専務取締役COO 山崎健司

1974年12月6日生まれ 1997年 株式会社USENに入社。Gyaoの立ち上げと平行し、モバイルコンテンツ事業の立ち上げを担当。株式会社ユーズモバイル(後の株式会社サミーネットワークス)の設立も行う。 2004年、株式会社メンバーズに入社。モバイル事業の責任者として日本最大級のリアルメディアの開発。自身3度目の株式公開も経験する。 2008年に株式会社インクルーズに企業再生をミッションに参画。現在は専務取締役COO。


COOまでの道のり

 大学卒業後、USENに入社し、1年間の営業活動を経て、1998年に本社勤務になりました。最初に担当した業務はインターネット向け音楽配信でした。カラオケのMIDI音源というデータをインターネット向けに配信するというニッチなサービスの運用を任されました。伸びるサービスではなかったので、若手に任せようということになったみたいです。 
 なのでこの事業は、ポジティブよりもネガティブからのスタートでした。(笑)それからインテリジェンス創業者の宇野康秀さんが2代目社長となり、積極的に投資を行う環境が整えられました。2000年ごろからはGyaoの立ち上げをカラオケチャンネルのコンテンツ調達、企画、運営をマネージャーとして担当し、その業務と並行して、携帯電話向けのカラオケ、アーティストファンクラブ事業(部下20名)を事業責任者として担当するチャンスを与えられ、それが成功したので、新卒4年目で担当事業部門を分社化する形で株式会社ユーズモバイルを設立することになりました。社長以外の役員は非常勤の取締役でしたので、統括部長として、現場はすべて自分がみるような形でした。

 最終的には株式会社ユーズモバイルの全株式を、セガサミーに売却し、現在の株式会社サミーネットワークスとなっています。セガサミーの資本が入ってからは売り上げの7割くらいは、パチスロアプリになってしまったんですが、音楽系と芸能系のサービスは全部僕が立ち上げました。

 当初はユーズモバイルで採用したメンバーのことや育て上げてきた事業への想いもあり、資本変更後も数か月は在籍していましたが、提案したメディア事業の新規提案が採用されなかったこともあり、辞職しメンバーズに入社しました。今振り返ると、当時で創業60年の企業、1万名の社員の中で宇野社長や稲葉取締役らと仕事をできた事は非常にラッキーでした。

 メンバーズでは、モバイル事業の立ち上げをミッションとして入社しました。当時、着メロや待ち受けの課金ビジネスがもてはやされていた時代でしたが、今後コンテンツは無料になるという確信がありました。そんな中、モバイルの広告市場の100億円はほぼ大手の数社におさえられていました。何かモバイルコンテンツをメディアにできないかと考えたときに、「メルマガのメディア化」を思い付きました。

 早速メルマガ会員数上位2社(牛角、ツタヤ)にメルマガ内に他社の広告を入れられるよう提案しました。メルマガ内に、飲料メーカーや金融広告や他業界の広告を入れるだけで、300万人が見るメディアがあっという間に構築されました。初年度だけで、この事業部は、20名、売上規模約3億円になり、少しはIPOの手助けができたのではないかと思っています。

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 メンバーズ在籍に在籍した4年間の内、当初の3年間は良い結果を作ることが出来ましたが、最後の1年間で思うような成果を出すことが出来なかったため、その後、エージェント経由で、インクルーズを紹介され、正直、他にもいろいろな上場企業から内定はもらいましたが、未上場だったインクルーズに入社を決めました。

 インクルーズに決めた一番の理由は、「120名規模の会社の立て直しとその後の株式公開を目指す」というキーワードに率直に惹かれたからですかね。上場企業の連結子会社でしたので、連結でのキャッシュポジション含めて、財務状況は事前に調べてましたが、こんなに財務状態がひどいとは思っていませんでした(笑)

 2008年1月に執行役員として入社すると、3か月後の4月には社長、取締役がすべて辞任する形となり、当時の親会社であるコネクトテクノロジーの副社長がインクルーズの新社長として就任しました。そのタイミングで、僕も専務取締役COOに就任しましたが、PLで毎月2千万円前後の慢性赤字、過去3年間で、約7億円の累積赤字という最悪の状況でした。入社前に、上場している親会社の財務諸表しか確認できなかったのですが、そこまでインクルーズも悪いとはわからなかったですね。

 でも最悪な状況はある程度覚悟していましたし、苦戦しているからこそ意味があるなと思ってはいたので、結果的には良かったです。

 黒字化までは3年かかりました。まず行ったことは、組織の再編と大型案件の受注ですね。組織の再編に関しましては、120名いた社員は一時期は50名まで減らしました。というのも事業領域を広告代理店(営業)→コンテンツ開発(クリエイティブ)に大きく変更したので、事業に必要な人間のスキルが大きく変わってしまったからなんです。

 正直に申し上げると、当時のメンバーは2名しか現在残っておりません。それくらい組織、事業領域をガラリと変更しました。大型案件獲得については、大手ビデオレンタルの会社様から月数千万円の案件を受注することができ、なんとか食いつないでいる状態でしたね。

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CEOとCOOの役割
 弊社はCEOとCOOの役割を明確化しています。CEOはお金。つまり資金繰りを中心に行い、COOは実行。その予算内で、戦略の策定から実行までをすべて行っております。

 ですので、月に1度の取締役会はCOOが前月の売上予算達成率や、原因分析、それを踏まえた上で、来月の戦略をプレゼンテーションします。それを受けて、CEOからその場でアドバイスは頂きますが、基本的には聞く姿勢です。

 今、COOとして、チャレンジしていることは自社のソーシャルゲーム事業です。グループ会社のマイティークラフトでは100名規模でソーシャルゲームやアプリの受託開発事業を展開しており、僕も取締役を兼務しているのですが、が、最近ですと「拡散性ミリオンアーサー」というタイトルをスクウェア・エニックス様のディベロッパーとしてご担当頂く機会を頂戴し、月商数億円を売り上げる大ヒットゲームの制作と開発と運営をお手伝いしています。この貴重な経験を活かす形で、今後は、自社でオリジナルゲーム開発を行っていきたいと考えています。

 その一環として、2013年の1月25日にマイティーゲームスという自社ゲーム制作を目的とした新規法人も立ち上げ、更にゲーム事業に注力していくつもりです。直近の目標はまずは単月で5,000万円の売上規模の自社ゲームを創ることです。常に攻める気持ちを忘れずに、ゲーム事業にも積極的にチャレンジしていきたいと考えております。

 


 

COOを目指す方へ

 アドバイスとして、まず1つ目は「結果に徹底的にこだわる」です。COOに求められていることは結果でしかないので、結果にこだわって、こだわって仕事をする姿勢が大切です。

 2つ目は「常にポジティブ」です。事業運営をしていると、失敗がたくさんあります。10の新規事業があるとすれば8は失敗するでしょう。重要なことはその8の失敗を次にどのように活かしていくかです。また自分がネガティブになっていると周りの組織もネガティブな雰囲気が伝わってしまうので、常にポジティブなことは非常に重要です。

 3つ目は、「スピード」です。特に、判断のスピードが一番大事だと思っています。判断が遅い方はCOOには向いていません。基本的に自分を起点に事業が始まっていくので、判断を止めることは会社が1歩出遅れるということです。よく「こんな少ない情報じゃ判断できません!」という方、責任のある判断をビビッて先延ばしにする方がいると思うのですが、COOとしては最悪です。判断を誤ったら自分が解任になるだけ、先延ばしにして、ゆっくりPLが死んでいくよりはずっといいと思います。早くて損は何一つないと思います。

 ちなみに判断が早い方は日々考えている方が多いですね。そうすると判断に唐突感がなくなるので、あわてることもありませんしね。

 

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