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最新インタビュー

理想のCOO像は「代表取り締まられ役」でいること
株式会社エンファクトリー
執行役員 副社長 清水正樹

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■略歴
1986年千葉県生まれ。大学在学中にWEB動画マーケティング事業で起業。その後、株式会社オールアバウトに入社、メディア運営・EC事業の立ち上げなどに 携わる。 2011年、同社からスピンアウトし、現職。 兼業で合同会社flasco代表も務める。


■作家や専門家の知識やこだわりをサービスを介して価値あるものに
Q:まずは、エンファクトリーさんの事業内容を教えていただけますか。
A:事業としてはいくつか持っているのですが、ショッピング事業と専門家マッチング事業が主流と言っていいと思います。ショッピング事業の方は、作家さんや職人さん、デザイナーさんが作ったこだわりのプロダクトを紹介する『スタイルストア』(http://stylestore.jp/)。写真とテキストでアイテムをていねいに紹介し、見ているだけでも楽しいけれど、気に入ったものがあればもちろん買っていただける、というお店をやっています。それから、ギフトに特化した『COCOMO』(http://cocomo.to/)というECサイトも作りまして、この二つはなんとか伸びてきています。

Q:専門家のマッチング事業の方はどのような感じですか。
A:今、エンファクトリーは、弁護士さん、税理士さん、あとは、料理講師の方とかスポーツインストラクターさんとか、いわゆる専門家の方で2万人くらいのネットワークを持っています。その中の1,000人くらいの方に有料でご登録いただく「専門家プロファイル」(http://profile.ne.jp/)というサイトを運営しています。コラムを書いたり、寄せられるさまざまな課題を解決していただいたり(公開質問)することで露出度が上がり、ブランディングにつながって仕事が増えていくという仕組みです。また、2万人の専門家データベースを活かして、記事を監修していただいたり、執筆をしていただいたりして専門性の高いコンテンツを作成し、オウンドメディアなど、いろいろなメディアに販売していこうということにも最近は注力しています。

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Q:それは、とてもニーズがありそうですね。最近はネットメディアも乱立しているので、アタマひとつ抜け出すためには価値あるコンテンツを出していかないといけないと思いますし。
A:そうですね。特に、B to Bとか業界特化型のメディアでは、専門性が増すほど、「なんでも幅広く書きますよ」というライターさんでは書くことのできないコンテンツが求められます。そういったメディアに、上手くアサインしていくことにビジネスチャンスがあると思っています。

■自分が作り出したもので世の中を変えていきたい
Q:ところで、清水さんがエンファクトリーに入られるまでの経歴を伺ってもよろしいですか。
A:はい。千葉で育ったのですが、小さい頃から“ものづくり”が好きで、小学校の図画工作では飽き足らず、木工や電子工作のようなものまでやっていました。 “作る”作業を通して、「何かを変えられたり新しい価値を作ったりといったことができたらおもしろいだろうな」と漠然とは思っていましたね。


Q:そういった“ものづくり”の作業の中にビジネスの芽のようなものはありましたか。

A:“ものづくり”とは少し違うのですが、子どもの頃、ガチャガチャとかみんな好きでしたよね。駄菓子屋さんに行くと、もう販売終了で廃棄されるガチャガチャのおもちゃがたまにあるんですよ。それをタダでもらって、中身を友だちに20、30円で売ったりしていました。友だちの方も普段は100円で買っているものがずっと安く手に入れられるのでうれしいわけです。あとは、ネットにアップされたゲームの攻略方法をプリントして売ってみたり…。当時はネット回線を引いている家庭自体が少なかったので、そんなものでも売り物になりました。こんな風に、小遣い稼ぎする方法を考えたり真似たりしているうちに、「商売の仕組み作りっておもしろいな」と感じるようになりました。


Q:大学は早稲田大学に入られましたね。

A:はい。一度全学部の不合格通知をもらった後に、繰り上げ合格で入学できたので本当に滑り込みですね(笑)。入学してから、授業でドリコムの内藤(裕紀・代表取締役)さんにインタビューする機会にたまたま恵まれました。そのときに、「web 2.0 」とか「ロングテール」とか、当時、海外でちょっとは広まっているけれど日本ではほとんど浸透していないという言葉を耳にして “ものづくり”の血が再び目覚めまして。「事業を作ったりとか、サービスを作ったりすることが、これからはWebでやりやすくなるんだ。ならばそちらに行ってみようかな」と考えるようになりました。

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Q:すでに、大学時代に一度起業されていますね。
A:知り合いの会社の看板を借りたプチ起業ですけどね。例えば、求人系の動画サービスで、当時は動画ソフトのようなものを使える人がまだ少なくて、「早稲田大学の清水ですけど、御社の採用のお手伝いをしたいと思っているんですけど」なんてノリで企業に電話しても、なんとなくアポがとれたりしたんです。そういう、学生ならではのやりやすい環境で、最初の事業経験が培われたことはラッキーでした。

■チャンスは行列のできないところにある
Q:でも、そのまま起業家にはならずにオールアバウトに就職されたのはなぜですか。
A:内心、「この事業は学生だからできている部分が強いな」と感じていたんです。だから、卒業後も続けていくには弱いと思いましたし、当時かなり景気も悪くて、「これは、一度就職しておいた方がいいかもしれない」と。

オールアバウトに入社したのは、企業の合同説明会に行ったときに、オールアバウトのブースだけ誰もいなかったから(笑)。他の大手企業さんのブースは満席なのに、こちらはほとんとゼロ。「待たなくていいや」という感じで話を聞いてみたら、これが、興味の持てる事業内容だったんです。でも、これはビジネス全般にも言えることで、行列ができているところで勝ち上がっていくのは難しいけれど、まだやっている人が少ない分野なら、アイディアとか頑張りひとつで大きいことが早くできるようになるかもしれない。そういう可能性のようなものを、オールアバウトに感じたんでしょうね。実際、「スタイルストア」を母体として、ギフト専門サイトの「COCOMO」を作ったりしていたのは入社2年目ぐらいでしたからね。まさに、ベンチャーならではのスピードでいろいろな経験をさせてもらっていました。


Q:そこから、エンファクトリーとして分社化するまでは、どのような流れだったのですか。

A:「スタイルストア」にしろ「専門家プロファイル」にしろ、リーマンショックの頃に結構なマイナスを抱えることになってしまいまして、新たな出資先を見つけるための…要するに、不採算事業を切り出すという意味で分社化することになりました。


Q:そういう状況は知らされたうえでのスピンアウトだったのですか。

A:そうですね。事業自体の赤字額はわかっていました。当時、オールアバウト内にアプリ系の新規事業部が立ち上がっており、そちらにも兼務で所属しておりました。なので、オールアバウトに残るか、エンファクトリーに行くのか選択しなければなりませんでした。僕としては、後者は不採算事業ではあったけれど、「経営に携わりたい」という気持ちが強くてエンファクトリーに行くことにしたんです。最初の2年は、コスト構造を変えて、業務内容を見直して、マーケティング施策を変更してと、基本的なことをひたすら繰り返していましたね。


Q:株式会社イードさんとの話が出たのは、そのくらいのタイミングだったのですか。

A:ええ。宮川さんとはたまたま共通の知り合いがいて、その人の結婚披露パーティで知り合ったんですよ(笑)。「メディアって儲からないけれど、こうやったら利益でますよね」なんて話をしたら、宮川さんが「わかってるねぇ」という感じで僕を覚えてくださって。「実は、出資先を探しているんですよ」と持ちかけたら、話を聞いてくださることになりました。それから、2カ月ぐらいだったと思います。オールアバウトからイードに株式を譲渡することが決まったのは。


Q:飲みの席から…

A:ええ、飲みから。ちょっと知り合いベースで、みたいな(笑)。

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■シームレスで自由な意思決定スタイル
Q:現在の副社長という立場には、いつからなられたんですか。
A:まず執行役員を1年ほどやって、その後、副社長になりました。2年ほど前ですね。


Q:今年30歳になられるということで、失礼ながら大変お若くていらっしゃるのですが、年上の優秀なメンバーが他にもたくさんいる中で、このポジションに就かれた理由を、ご自身ではどのようにとらえているでしょう。

A:マイナススタートの会社で、とにかく売り上げや利益を伸ばしていかなければいけないという状況の中で、事業の全体像が見渡せて、課題を構造的に分解して数字の改善につなげられる人間が、たまたま当時のメンバーの中にあまりいなかったからだと思っています。Webの企業で売り上げを伸ばすためには、マーケティングがキモになるのですが、僕はオールアバウト時代から、サイトの立ち上げを含めマーケティング分野での成功事例をいくつか出すことができていました。ひとつひとつは小さい成功だったのですが、再現性のある成功事例を継続的に出せることが証明できていた、というのがとても大きかったのではないでしょうか。


Q:社長の加藤健太さんとはどのような関係性を築いていらっしゃいますか。

A:加藤は元オールアバウトのCFOを10年やってきた人間で、採用とか、財務・経理面とか、スタッフ職の色が濃いんです。僕がガンガン進めていく事業を上手く整理してくれて、絶妙なタイミングで「この会社のこの人を紹介するよ」という感じのアシストをしてもらったりしています。経験値が豊富な分、人脈もすごくて、必要なパーツを与えてくれる存在ですね。


Q:たとえが悪いかもしれませんが、ガンガン攻めていく清水さんを、加藤さんが上手く手綱を引く、という感じなのでしょうか。

A:まさにそんな感じです。今、加藤が48歳ですか。僕と20歳ぐらい年が違うのですが、そういう親父と息子ぐらいの年の差が、いいバランスで作用している気がします。僕自身は、いろいろな事業をとにかくたくさん発案したいという気持ちが強いのですが、加藤はそれをある種“目利き”するように冷静に精査する。僕だけじゃなく、代表として会社全体の手綱を上手く引いてくれています。人事制度とかインセンティブの設計とかを工夫して、スタッフのやる気を引き出すことに非常にたけていて、会社全体の水準が上がっています。そんな、加藤の作り出した土壌の中で、どんなサービスでどうやって収益を上げていくかというところにフォーカスして、心置きなく攻めさせてもらう、という感じです。


Q:とはいえ、副社長ならではのご苦労もあるのではないですか。

A:数字責任は負いますから、売り上げや利益が上がっていないときは、それはツラいですよ。イードという上場している親会社を持っているので、数字にコミットする責任も重いです。これは、COOだからという話ではないかもしれませんが、「どうしたら次の一手を外さないか」ということは、本当に血眼になりながら考えます。これ以上ないほど追い詰められて、自分を追い込んで、そこで打つ手というのは、やはり上手くハマることが多いですね。まぁ、追い込まれなくてもちゃんとやれという話ではあるのですが(笑)。

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Q:経営陣の意思決定スタイルはどのような感じなのでしょう。
A:今、代表の加藤と僕と、CTOの澤田という者が役員としているのですが、大きな投資は3人で話し合って決める、少額の投資は各人の判断でやってしまうという感じです。採用に関しては、僕の方で決めることもありますし、他の2人に相談することもある。そのあたりはシームレスで、きっちりとルール決めをしているわけではありません。オールアバウト時代からかれこれ8年くらいのつきあいなので、お互いの勘どころがつかめている。結構自由な感じですが、もめることはそんなにないんですよ。


■フリーでも組織に属していても一人のプロフェッショナルでいること

Q:いろいろな事業をされている中で、見えてきたものはありますか。たとえば、参入するときの見極めとか、成功させるためのポイントとか。
A:これまでの経験で実感したのは、昔は「このサービス、ワクワクするね!」みたいなところを判断基準にしがちだったんですが、今現在世の中に存在しないものをゼロから作り出すのはとても難しいということです。もちろんチャンスがあれば打ちたいけれど、ホームランばかりを狙うわけにもいかないんです。会社組織としては、手堅くヒットを打って次のバッターに打順を回すことも大切。夢を壊すようですが、ものや人やお金がすでに流通しているところをリプレースしていくモデルじゃなければ、事業としては厳しいのかもしれません。僕個人の願望としては、そういう環境の中でも「やっぱり事業を作るのが好き」「事業を作っていけるモチベーションがある」というメンバーと一緒に仕事をしていきたいですし、今のメンバーにもそんな風にマインドを変えていってほしいと思っています。


Q:そういうメンバーと一緒に会社を運営していけたら、確かに幸せですね。それは、エンファクトリーがミッションとして掲げている「ローカルプレナー」の自己実現支援にも通じるのでしょうか。

A:はい。エンファクトリーでは、自ら働き方や生き方をデザインして実行している人たちのことを「ローカルプレナー」と定義しているのですが、そういった人たちを支援するためには、まず、うちのメンバー一人一人がきちんと事業を作れたり、プロフェッショナルとして周囲から教えを請われるぐらいに自分を高める必要があると思っています。そういう人間に成長すれば流動性が高まって選択肢も増やせますよね。豊かな人生って、選べる選択肢が多い人生のことだと思うんですが、そのお手伝いをするのが僕らのサービスなわけですから。


Q:メンバーに推進している「専業禁止」などは、功を奏しているのですか。

A:掲げることによってそういう人たちが集まってきますし、外からそういう会社のメンバーだとみられることで意識も変わってきます。ですから、一定の効果はあったと思いますよ。全員というわけではないけれど、メンバーも、サイトに登録している専門家のみなさんも、アドバイザーとしてナレッジを求められたりといった機会が出てきて、一人一人の個が立って、自分の名前で仕事ができている人が増えている印象はあります。


Q:ありがとうございました。では最後に、清水さんが考える理想のナンバー2というか、COO像があれば、ぜひ教えてください。

A:代表がガンガン事業を作っていって、副社長的な人がそのサポートをしていくというスタイルもひとつにはあるのでしょうが、僕たちのようにその逆パターンもありかなと思います。代表が“取り締まる役”なのだから、こちらは取り締まり甲斐があるほど攻めすぎるくらいに事業やサービスを作っていく。そういう組織の方が、トップが強くてとにかく頑張ってという組織より、最終的には強いのではないかと思いますね。

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Q:代表“取り締まられ役”でいたい、と。
A:ええ(笑)。これまで、会社といえば事業ありきでしたが、これからは人、つまり、従業員の働き方や在り方から組織を考えていくのもありだと思います。今、エンファクトリーはアルバイトも含めて40人弱くらいの組織なんですが、自分で事業を作っていける力のあるメンバーを増やして、最終的には100人規模の組織に育てていきたい。社内にいる100人のローカルプレナーからいろいろなコラボレーションが生まれて、今までにない“半分オープンな組織”になったら非常におもしろいのではないかと思っています。

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