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最新インタビュー

COO は「経営リソースの最適配置が仕事」。
戦略性と中長期的視野を持ち、会社の「今」を回していく。
ポート株式会社
取締役副社長COO 丸山 侑佑 

■略歴
1986年兵庫県生まれ。立命館大学卒業後、2009年組織人事コンサルティングに入社。外資系大手メーカーの人材開発・採用プロジェクトリーダーとして、戦略から運用までをハンズオンで実行。その後、東証一部上場のIT系企業KLab株式会社へ転職し、人事マネージャーとして経験を積む。2013年1月株式会社ソーシャルリクルーティング(現 ポート株式会社)に入社し、同年3月取締役COOに就任、2015年6月取締役副社長COOに就任。

選定1

■全事業を把握し、各事業責任者を経営的観点でマネジメント

Q. 初めにおうかがいします。丸山さんの考えるCOOの役割って、ずばり何でしょうか?

A. 正直私もまだ勉強中です。なので今私なりに出している現時点での解になりますが、COOは結局、「経営リソースの最適配置が仕事」だと思っているんです。CFOならファイナンス、CTOならテクノロジーの専門家ですよね。そういうファンクション主体の役職もありますが、COOは「チーフ・オペレーション・オフィサー」でしょう? ファンクション主体ではないんです。だからこそ役割の定義が難しくて、どう動けばいいか悩む方もいらっしゃると思います。私はすごく悩んできました。COOの役割は基本、会社のリソースを最適配置させながら、ビジネスオペレーション全般を管掌し、ミッション&ビジョンへと導くことだと思います。各事業において実務を担うマネージャーやスペシャリストはいるけど、彼らを経営的観点でマネジメントしていきながら各部門を運営していく。そして、全社に必要な人・モノ・金・情報を整理しながら、最適な活用や配置を決定していく。つまり、「リソースマネージャー」だと認識しています。

 

Q. 各事業を運営するマネージャークラスの社員を、会社の方針に沿って統括するのがCOOだということですね。時には新規事業が立ち上がることもあるかと思いますが、事業数が増えてもCOOの役割は変わりませんか。

A. 基本は同じでしょうね。むしろ、際立っていく気がしています。代表のキャラクターや会社の文化によって担うべき役割は多少わるかもしれませんが、COOはファンクションに紐づかず、全事業を管掌する役割ですから、戦略的な短期アサインを除き、特定の事業や専門性だけで勝負しないんだと思います。自らの得意分野に関わらず、会社の事業すべてを把握し、運営していく必要があります。自分に関していえば、会社全体のビジネスオペレーションのために、個々のファンクションで介入度合を変えつつも、一通り全事業に介入し、把握し、経営視点でアドバイス、意思決定をしていこうとしています。「僕は営業をやったことがないからわからない」と言ってしまっては、COOとして役割を全うするのは難しいので、隔たりなく全社最適を軸に介入していますね。

マネージャークラスの社員が部長に昇格する際、「自分が経験していない業務をどうマネジメントしていけばいいのかわからない」という課題がよく挙がりますが、これはCOOにとっては日常茶飯事です。未経験の分野は経験を頼りにはできませんから、非常に難しい。僕の場合は、「知ったかぶりせずに、自分の頭で理解すること」と、「戦略などの大きなことから、現場の小さなことまで拘ること」を各事業とのコミュニケーションでは心掛けています。そうして全事業を把握し、人・物・金・情報という経営資源を、過去・現在・未来の時間軸でとらえ、会社を運営していく。それが僕の考えるCOOの仕事です。

選定2

■会社の「今」は自分がつくる。創業者のエネルギーは「未来」の創造に使いたい

Q: 丸山さんは「自分にはCOOが合っている」と感じ、ポートにCOOとして入社されたとうかがっています。なぜ、自分にはCOOが向いていると思われたのでしょうか? 

A: 以前から付き合いのあった弊社代表春日に、「関わるのであればCOOとして入れてほしい」とこちらから頼みました。なぜCOOかというと、自分は事業開発や起業など、まったく新しいものを生み出す、いわゆる「ゼロイチ」よりも、「グロース」に向けたマネジメントを得意としていると感じていたからです。また、何か専門性を高めていく仕事よりは良くも悪くもゼネラリストであると感じていました。

一部の起業家や創業者のエネルギーというものは、一般的なビジネスパーソンのそれとは比べものにならないと思っています。彼らは自分の使命を明確に認識していて、目先にとらわれず、未来を見据えている。そして、その未来への執着心が非常に強い。僕から見れば、その思考は少々「ぶっ飛んでいる」とも感じる。そういう人のエネルギーを日々のお金の管理や、業績管理、人事管理に使うのはもったいない。入社を決めた日から変わらず今も、春日には「未来」を創造する仕事に専念してほしいと思っています。そして、「未来」を創るために、他のことは気にせず現場で没頭してほしいんです。成功したベンチャー企業のCEOや創業者の多くはプロジェクトマネージャーとして、すごく現場主義ですよね。Facebookのマーク・ザッカーバーグもそうだし、アップルのスティーブ・ジョブズもそうだと私は思っています。特に私たちのような天才肌でない人間は、得意分野に注力し、努力を重ね、天才と戦っていくしかないと思います。だからこそ、今COOを担当しています。

弊社は「世界中に、アタリマエとシアワセを」をコーポレートミッションに掲げています。インターネットメディア事業や採用コンサルティング事業、ポートメディカル(遠隔医療)事業、地方創生支援事業などを手がけていますが、春日はこれらの事業開発を得意とする人間です。彼の仕事は、社会になくてはならない、社会が必要とするサービスを予見して、それをつくり上げていくことです。これは、「未来」を創造する仕事といっていいでしょう。自分はどちらかといえば、毎日をコツコツと地道にこなしていくタイプです。いってみれば、「現在」を動かす仕事ですね。勿論、二人で相談しながら進めますが、極端に表現すると、僕が「現在」の事業運営を担えば、春日は「未来」をつくる事業開発に専念できる。それが、社会にインパクトを与えるための、弊社にとって最適のフォーメーションだと思っています。

 

Q. そういうお考えだったのですね。COOになられて3年半ほどだと思いますが、自分のここが変わったと思うことはありますか?

A: 自分でも驚くほど大きく変わったと思います。就任1年目は、ピープル・マネジメントしかできていませんでした。取締役やCOOを名乗れるレベルには達していなかったですね。次年度は営業部長的な働きができるようになりました。少しずつ事業マネジメントを理解してきたというか。しかし、会社全体を管掌しているというにはほど遠い。特定の領域のみを統括する「担当役員」「執行役員」レベルでした。3年目にしてようやく、社内の全事業を掌握し、会社全体のビジネス・オペレーションの統括ができるようになってきました。4年目の今は、ファイナンスなどのバックオフィス系まで管掌しています。少しずつではありますが、各事業のKPIだけではなく、全社経営KPIを管理し、人・モノ・金・情報がどのように回っているのか、的確に把握し、手を打てるようになってきました。ここまでできなければ、胸を張って取締役やCOOとはいえないと思っているんです。最近ようやく、「取締役副社長COO」に近づいてきたと感じています。立場や役割が人を育てるという表現がありますが、それは事実です。ですが、それよりも、自分の能力を超える立場や役割から来るプレッシャーと戦えるかどうか、が私たちのような未経験経営者が成功するかどうかの一番のポイントであるとも感じています。少なくとも、私は何度か折れそうでしたから笑。

選定3

Q. 担当領域が限定される営業担当役員や執行役員と、取締役副社長COOは担うべき役割が違うということですね。御社だと、各部門に専門知識を兼ね備えた優秀な人材が多くいらっしゃると思います。そういう社員を束ねていくのに必要な能力があれば教えていただけますか。

A. すごくシンプルですが、「戦略性」だと思います。これは僕のメンターに教えてもらいました。僕は最初に勤めた組織人事コンサルティング会社で、世界でもトップレベルの外資系メーカーに出向し、人材開発・採用プロジェクトを担当した経験があります。そのメンターの方は、その出向先で取締役だった方です。今でも年に1、2回会って、食事をしながらいろいろな話をさせてもらっています。

非常に優秀な部下を率いてきた経験のある方なので、ある時、「百戦錬磨のプロフェッショナルに『自分が上司である』とどうやって認識させるんですか?」と聞いたことがありました。その方いわく、「それは戦略性だ」と。一つの事象だけでなく、複数の事象を踏まえて複合的思考ができ、的確な判断ができること。また、目先のことにとらわれず、広い視野と中長期の時間軸を持って、部下が持ってくる提案・連絡・相談の内容を自分の頭で分析し、的確なフィードバックをすることだとおっしゃっていました。非常に当たり前のことではありますが、私の指針となっています。弊社のメンバーは優秀ですが、組織全体を俯瞰で見ること、中長期的な視点で判断し、物事を動かしていくことについては、僕に優位性がありますし、それが私の仕事です。そして私の存在意義です。

選定4

■成人式実行委員長を経験して気づいた、マネジメントの面白さ

Q. 丸山さんのお話をうかがっていると、COOはスペシャリストではなく、ゼネラリストの極みなのだという印象を持ちました。丸山さんのお生まれからポートに入社されるまでについて教えてください。自分がCOOとなるきっかけになったと思えることはありますか?

A. あります。僕の人生の転機は2回あったと思っています。一つは小学生の頃に祖母を亡くしたときのことです。可愛がってくれたので、非常に悲しかったです。私の中では、初めて親しい人が亡くなったので「一大事だ!」という感じで、誰にも話しませんでしたが、半ばパニックでした。それなのに、翌日通学のために家を出ると、これまでと変わらず社会は普通に回っている。何もなかったように。それがとても不思議でした。このことをきっかけに、人が生きるってどういうことだろう、自分の人生って何だろうって強く考えるようになったんですが、答えが簡単に出るはずもないですよね。でも、私としては自分の人生をかけて、社会にインパクトを残したい、世界や社会、未来を変えるために意義ある人生をおくりたいと思えるようになりました。

 

Q. 小学生にして生きる意味を考えるようになったわけですね。大学ではどうでしたか?

A. 大学時代には二つめの転機がありました。僕は兵庫県淡路島の出身で、大学進学を機に島を出たのですが、1年生の夏に故郷に恩返しをしたいと思い、ボランティア団体を立ち上げたんです。淡路島のビーチを夏休みの90日間、朝7時から毎日清掃する活動です。そんな活動をしていたら、市から成人式の実行委員長の依頼があって。生徒会長をやる優等生タイプでもなかったし、「なぜ僕が」と驚きましたが、人生に一度しかない機会なのでチャレンジすることにしました。ただ、引き受ける代わりに、「実行委員会のメンバーは自分に選ばせてほしい」と市に頼みました。プロジェクトは誰とやるかが重要ですし、当時は「平成の大合併」とタイミングが重なっていたため、実行委員会のメンバーは合併する市町村からバランスよく集めたかったんです。毎週地元に戻って地道に準備を重ねたおかげで、全国のアワードにもノミネートされて成人式は大成功でした。

この経験も、自分にとっては大きなトリガーになりました。なぜなら、子どもの頃の勉強や部活って、全部敷かれたレールですよね? 正解があるというか。一方、成人式は、正解があるようでないし、全部自分たちで考えなければなりませんでした。特に私の育った街は成人が主催者となって式典を運営します。メンバーにはやる気のある人もない人もいる。お金の制限もある。そんな環境の中でメンバーのモチベーション管理をしながら、プロジェクトを進めるのがすごく面白かったんです。たぶんそのときにマネジメントに興味が出てきたんですね。それがきっかけで、学生団体を立ち上げて、チームをつくり、地域と大学生の連携に取り組んだりもしました。

 

Q. アクティブですね! ここでマネジメントの面白さに目覚めたのですね。卒業後は組織人事コンサルティング会社に入社されていますが、これはなぜでしょうか?

A. 大学で、社会保険労務士の方が講師を務める授業があり、社労士に興味を持ったんです。そこで社員の社労士資格保有率が高かった会社を見つけて入社しました。ところが、人事組織コンサルティングの部門に配属となり、組織活性化支援、研修事業の立ち上げなど、考えてもみなかった仕事をすることになって。2年目には、先ほどお話しした僕のメンターが取締役を務めている企業に出向し、人材開発・採用プロジェクトのリーダーを任されました。この時に初めてメンバーをもち、マネジメントの面白さを再確認しました。2年半働いた後、IT企業の人事マネージャーとして転職したのですが、次第に「もっと世界にインパクトを与え、貢献し、未来を創造するような仕事をしたい」という思いが募ってきて。その後、縁があってポートに入ったのです。

選定⑤

■高い理想を持ち続け、トラブルから決して逃げないことが大切

Q. 最後にCOOになったばかりの人、経営幹部を目指す人たちへのアドバイスをいただけないでしょうか。

A. 僕が自分に課しているのは、理想とトラブルから絶対に逃げないことです。取締役副社長COOとはどうあるべきなのか、その「あるべき姿」という理想を高く持つこと。今の自分に満足せず、成長したらさらに理想を高くして、それに向かって努力していくこと。それが大事です。会社は経営者以上の器にはなりません。僕らが努力して成長し続け、その器を広げていかないといけない。経営者なんて、誰からも怒られないんですよ。だからこそ、自分でハードルを上げて、絶えず高めていかないと。理想を下げた瞬間に成長は止まってしまいますからね。意外と、この当たり前なことが難しいと心から実感しました。いくら成績を残してきたといえ、常に上司やお客様からの指示、ロールモデルが組織の中にありましたからね。自分が経営者になると、身近にそれがなくなるから。本当に難しい。だからこそ、自分の本音と向き合う時間が増えましたね。自分は何を果たすのか、って笑。

また、トラブルから逃げないことも大切です。小さなことでも、何か引っかかることがあれば、すぐに対応する。メンバーが悩んでいそうだなと思ったら、すぐに面談の予定を入れる。人任せにしたり、週明けに話をしてみようなんて後回しにしたりしないことですね。小さな火種は、やがて大きな火事になります。寝かせておいて良いことなんか、一つもないですよ。例えば、いつもよりレスが遅いな、今日はちょっと雰囲気が暗いなと思ったら、すぐに話しかける。即対応しないと忘れてしまって、気づいた時にはもっと大変なことになる。仕事でもトラブルシューティングでも、「思ったらすぐやる」が大切です。これは最初からやれているわけではなく、過去の反省から学んできたことです。振り返ってみて、「反省」がある事象には、いつも「あのとき・・・」がつきまとっていました。本当に毎回毎回反省しながら、自分が嫌いになりそうでした。だから、今は少しでも異変に気付いたり、気になったりすることがあれば、そのままにしないようにしています。これも、誰からも言われないし、必要以上に自責的にならないといけないので難しいですねえ。

まぁ経営者として頑張るためには、個人個人の努力もすごく重要ですが、仲の良い経営チームをつくることもおススメします。必要のあるときにしか話さないという必要最低限のコミュニケーションだけじゃ、信頼関係は生まれにくい。会話が自然と多くなる、変に気を遣わず本音を言い合える、そんな風通しのいい経営チームをつくれたら、いざという時、本当に強いと思います。少なくとも私たちはそうですね。

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