最高財務責任者(Chief Financial Officer)の生きる道

「挑戦するリスクなんて不動産の審査が落ちるくらいですよ笑」 Retty株式会社  CFO兼人事統括 奥田健太


 

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Q:プロサッカー選手、航空大学校、ベンチャーCFO就任、とても興味深い経歴ですね笑

小学5年生から中学1年生まで父親の仕事の関係でドイツのデュッセルドルフにいました。当時からサッカーをしていまして、プロのジュニアチームに参画しプロサッカー選手を目指していました。プロのジュニアチームは毎年セレクションをして、チームメイトの3分の1が入れ替えられてしまうくらい、競争の激しいチームでした。

中学校の1年目が終わるタイミングで、父親の仕事の関係で日本に戻ってきまして、ベガルタ仙台のユースチームに入り、その後プロサッカー選手を目指していましたが、残念ながらケガをしてしまい結果的は諦める事になりました。

その後大学3年の時に前々から憧れていたパイロットになるべく航空大学校を受験しました。同時に就職活動もしてみたいなと思い就職活動を行い、航空大学校には合格したものの、その後の選択肢を広げるという観点から、三菱商事に入社しました。

三菱商事では5年半、リスクマネジメント部という部署に所属し、全社の経営企画に近い仕事をしていました。リスクマネジメントに関しては全社としてある一定以上の規模の投資をする際の投資ルール策定や、事業部の個別の投資に関しても、現場や経営陣が適切な判断を出来るように、リスクとリターンについて定量的な分析を提供するといったような仕事をしていました。担当として多かったのは発電事業や、実物資産を裏付けにしたファンドの組成に関わる案件等です。

ファイナンシャルモデリング部分で一部だけ関わった案件ですが、特に印象に残っているのはチリの銅鉱山を4000億円程度で買収した案件です。4000億円という大型出資判断を、大企業には考えられないスピードでこなしていたのは驚きでした。三菱商事はトラディッショナルな組織で通常の投資判断には時間を掛けて慎重に判断を行っていたのですが、額が大きい割に早いスピード感で行った当該案件はとても印象に残っています。機を逃さずに、短期間で判断を下す突破力と決断力には驚きと同時にさすがの一言でした。

当時、「ThinkAct Foundation」というNPOを立ち上げ、年に数回、スタートアップで活躍している起業家を集めて、カンファレンスを開くということもしていました。六本木ヒルズのアカデミーヒルズで行ったイベントには外資系企業や商社の若手など約300名を集めて起業家など約10名に講演してもらいました。このような活動を通じ、スタートアップ業界にも興味を持つ様になっていきました。

そして2013年7月にRettyに入社をし、CFO(最高財務責任者)として、事業戦略(特にファイナンスと人事戦略)を現在は担っています。昨年、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、みずほキャピタル、既存投資家から総額3億3000万円の第三者割当増資も実施しました。

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Q:7人目のメンバーだそうですが、現在の役割は?

現在はCFO兼人事統括としてファイナンス以外に採用の仕事もしています。ファイナンスと採用以外にも最近は広告の企画営業も行っていて、大手の飲料/食品メーカーさんとのタイアップ等を企画して商談などもしています。2013年12月の資金調達を行った後は、CFO業務もさる事ながら、採用や営業の仕事にもだいぶ力を入れています。

私が入社した2013年7月当時の喫緊の課題は資金調達でした。結果として、幸いな事に多くの既存投資家に、シリーズBにおいても増資を引き受けていただける事になりました。主に、対面しているビジネスマーケットの大きさと、サービスを利用いただいているユーザーさんの熱量が高い事などに評価を頂いていると思っています。当然ながら、既存のマーケットの大きさにかまけず、新たなマーケットを作っていく事にも力を入れて行きたいです。

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Q:三菱商事からRetty、大手とベンチャーでのカルチャーの違いは?

スピード感が圧倒的に違うと思っています。三菱商事ではリスクマネジメント、投資案件という事もあり成果物に対して95%〜100%の完成度を求められていたんですが、Rettyでは三菱商事の時と比べて3分の1の時間で70%くらいの完成度という感覚です。とにかく成果物を出して細かく修正してPDCAを回していく。何か改善できる事や新しいサービスをやるといったら何かしら意思決定が出来る段階まで数日で持っていくというスピード感。弊社の行動規範にもあるのですが「小さく初めて、素早く決断」を常に繰り返していくことが求められています。

ファイナンス、採用、営業、バックオフィス系等、多様な業務を行っていますが、前の仕事と比べてもネガティブな事はないですね。というか、200倍仕事は楽しくなりました。あえてネガティブな事を言うと、転職直後に不動産の審査に落ちた事くらいですかね笑

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Q:ベンチャーに参画するタイミングとは?

ベンチャーに挑戦するのであれば早ければ早いほど良いと思っています。ベンチャーでは色々な業務が体験できる事も大きな魅力の一つです。CFOとして、上場準備の段階や上場後に入社して職人のように高い専門性を持って活躍する方もいらっしゃると思いますが、ベンチャー企業では専門性も重要ですが、様々な経験が出来る事が重要だと思っています。事業の事や組織の事、サービスの事を熟知して色々な経験をすると将来的にCFO業務もやり易いと思います。当然アーリーステージであればあるほどリスクは高いですが(笑)

先ほども申し上げた通り、私はファイナンス以外にも採用、営業に関する業務を行っていますが、入社前まで採用、広告の知識は皆無でした。まったくやった事はなかったのですが、日々の業務を通し、知識よりも重要なことがある事を学びました。自分はこれしかできないからといって現在持ち合わせているスキルセットだけで職選びをすると結果的にその枠からはみ出した経験ができませんし、転職する意味も少なくなってしまうと思います。現在までの経験や実績に、過度に捕われるのはよくないと思っていて、特に私は知的好奇心が旺盛なのでずっと同じ事をやるのは性に合わないと思っています。10年後に何をしているかは全く想像がつかないです。もしかしたら成長したRettyでベンチャー投資をしているかもしれない、自分でスタートアップをしているかもしれないし、はたまた全然違う仕事をしているかもしれないですよね。そのときに「この仕事しかできません」「このスキルしか持っていません」となると新しい事はなにもできないですよね。将来は全然わからないですが、全然わからないからこそ面白いと思います。

 

Q:おすすめのお店は?

新宿にあるDUGというジャズバー兼カフェです。僕が新宿に行く理由は3つくらいしかないですが、ここもその1つです。日本のジャズ写真家の草分けである中平穂積さんが作ったジャズバー兼カフェでDIG→DUG→new DUGと移転や閉店を経て現在の店舗になりました。ちなみに村上春樹のノルウェイの森には、DUGでウォッカトニックを飲んだとの描写があります。このBARで春樹を読みながら過ごした幾多の時間は何物にも代え難い至福の時間です。

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