最高財務責任者(Chief Financial Officer)の生きる道

「CFOは元ロックミュージシャン!?」 株式会社クロス・マーケティンググループ 取締役CFO 人見 茂樹


 

 

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Q:タイトルがとても気になりますが、まず最初に大学卒業後どのような企業に就職されたのか教えてください。

卒業後は旧中央青山監査法人(現:あらた監査法人)に入社し、その次に有限責任監査法人トーマツに入社しました。2社合わせて15年くらい会計監査やIPOコンサルなどをしていました。最初の4年間は監査部門で大手の経理部とコンタクトを取りながら数字を検証する仕事をしていました。大手企業は中小企業に比べ職務が細かく機能分化しているので、ビジネス全体を通して物事をジャッジすることは難しく、正直仕事の面白味は感じませんでしたね。

しかし、IPOや監査だけではなく財務の立て直しなど総合的に企業に関わることが出来たので、それはとても面白かったです。世の中のマーケットをリサーチし潜在的なニーズを発掘しそれを基に新規ビジネスを立案し人や資金を調達したこと、会社の成長スピードや規模に合わせ組織の運営を改善したこと、社員が高いモチベーションを維持し成長し続けるための施策をプランニングしたこと。これらの仕事は常にトータル且つダイナミックで非常にやりがいを感じました。後程お話しさせていただきますが、いろいろな組織の仕事に携われた経験は現職でとても活かされています。

IPOコンサル後は1年ほどベンチャー企業に務め、その後某金融機関に経理の次長として入社しました。そこはとてもエキサイティングな環境で、普通ではなかなか経験出来ないことも経験出来ました。ニュースでも報道された通り社長が逮捕され大騒動になったにも関わらず、逮捕後も社員は普通に仕事をしていたこと。給料の未払い問題が発生し、会社として何十億もの未払い残業代を払ったこと。結果的に有罪判決になり、オーナーが金融業の免許取り消しにならないよう一定期間内に株を売却して比率を落とし、免許を維持するようにしたこと。このようなことから社会から批判的な目で見られることも多くなっていきました。しかし、カードローンもなく個人が銀行からお金を借りることが不可能だった時代に金融ビジネスを始め多くの人に融資してきたことは、少なくとも社会への貢献は出来たと思っています。

また、当時の私には「今は難しくとも将来的に社会に認められる時代が来るかもしれない、この会社なら他では経験出来ないことが経験出来る」という想いがありました。新しく社長に就任した松井証券の専務は優秀な方で「彼を中心に事業を展開していけば違う会社になるのでは」との希望もありました。しかし、実際は社会的にも厳しい現実があり私が希望していた仕事には関わる事が少なくなっていきました。そんな時、前々から声を掛けいただいていた㈱クロス・マーケティング代表取締役社長の五十嵐さん(現:㈱クロス・マーケティンググループ代表取締役CEO)から再度誘いを受けた事もあり、当社への入社を決めました。

IMG_1477Q:御社が上場した前日の日経平均が7900円という最安値でしたが調達金額に関してはどのようにお考えでしたか?

調達金額は想定の範囲内でしたね。私は事業を拡大する上で必要な資金は必要な時にあれば良いと考えています。また、その当時当社は何十億もの資金調達よりも早く上場会社になるというスピードを最優先にしていました。会社をグローバル展開するためにも資金調達の金額の大きさも大事でしたが、クライアントへの信頼度を高めることを優先にしました。もちろんリーマンショックの影響も考えましたよ。しかし、あらた監査法人や有限責任監査法人トーマツでたくさんのIPOに携わってきた経験を基に、外部の環境に左右されず突き進むことを決め、その結果当社は設立から5年というスピードで上場を果たしました。

私たちの目指すビジネスは、クライアントの経営の意思決定に貢献するためにクオリティの高いサービスを提供することです。マーケティングは事業創造の意思決定には必要不可欠ですから。また、マーケティングをする上では当然海外での視点も必要になってきます。海外現地での深い消費インサイトを知るためには、各国で優れたリサーチカンパニーとのネットワークを構築し、現地視点に基づいたノウハウやサービスを展開していくことが重要です。今後は各国の現地企業とパートナーシップを組みローカライズの強化を加速させていきます。

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Q:CFOとして考えるべき視点、行動とは?

経営者の視点で判断して行動することだと思います。狭い視点で物事を見るのではなく、総合的な視点から物事を見て判断することですね。その上で会社は3つのマーケットがキーになっていると思っています。

1つ目は、サービス市場です。どのような事業がコアビジネスになっていてクライアントに対してどのようなサービスを提供するのか。2つ目は、資本市場です。株主に対して企業価値を向上させていくこと。3つ目は、労働市場です。社員を採用、教育し高いモチベーションを維持しながら働いてもらい、彼らに還元しハッピーになってもらうこと。これはどの業界でも共通していて、3つのマーケットに対峙して企業価値が上がるように組織していくことが経営者の仕事だと思うんです。私は経営者というのは、仕事の内容が変わってもその時に一番必要なことをやるべきだと考えています。極論、掃除する人が居なければトイレ掃除もします。ビジネスとして成功させるため必要であれば当然します。実際に日々の仕事もその時々で変化します。例えば、給与計算や内部統制、審査対応から予算作り、資本政策、組織の体制作りなど内容は様々です。上場後はIRはもちろんM&Aや資金調達など仕事の幅は更に広がりましたが、以前と変わらずその時に一番プライオリティが高く必要なことをしています。

 

Q:経営的視点を身に付けるというのは具体的には何をすれば良いのでしょうか?

経営視点を身に付けるには、二つの方法があると思っています。一つは物事を見る視点を上げること。経営の視点は、会計財務だけではなく人事や営業や技術など、どの部署から入ってきてもいろいろな経験をしそれを積み重ねることにより自ずと視点が上がり経営者視点に近づいていくと思います。もう一つは、基準値を高く持ち若いうちからそういった会社や組織に触れることですね。例えばIPOのみを目標にしている会社は、目標は達成できたとしても価値を見出すことは難しいと思います。IPOを最終目標とするより世界最高の会社を目指していく過程に参加できることに意識をおいて仕事を進めていけば、経営者視点は自ずと身に付いてくると思いますね。

仕事をしていく上で私は常に「会社を世界最高水準の会社にする」ということを意識しています。仕事をするなら世界最高水準のクオリティのサービスを世界に提供すべきだと考えています。そのために経営者にとって必要な仕事は、先ほどの3つのマーケットに対峙して会社を組織し経営していくことだと思います。

最初に務めたPwC(あらた監査法人)では“PwCは世界最高水準の顧客満足度を提供する”という言葉が社内報に載っていました。アメリカでは、タクシーの運転手やいろんな方がPwCという企業を知っていて、PwCの社員と分かると「優秀ですね」と言って良くしてくれました。最高水準の会社は国や地域を越え全ての人から最高の水準で認知されている・・・私もそのような会社創りをしていきたいと思うようになりました。そのためにも、私は一般的な会計士の業務以外にも関心を持ち「トップレベルの業績を誇る会社はどういう経営をしているのか」と話を聞いたりコンサルしながら日々いろんなことを吸収していきました。

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Q:タイトルにもあるように、もともとはロックミュージシャンを目指していたと伺いましたが本当ですか!?

そうです。今でもロックミュージシャンになりたいと思ってますよ(笑)「ロックミュージシャンを目指していた人間がCFOになった」と言うと驚かれる方も多いと思いますが、私からするととても自然な事なんです。大学に入学するまでは興味のあったロックを極め、大学に入学して経済学に出会い触発されてからは経済学を極めました。その時その時興味があることを徹底的に追求し最高レベルに極めるという点でいうと、今も昔も変わりません。「どんなジャンルであれ興味を持ったことにチャレンジし追求し世界最高水準レベルで極める」というベンチャースピリッツのようなものは昔からあったのかもしれませんね。

現在当社では、グローバル化だけではなく新規事業の創造も進めています。マーケティングに関わる新たな技術やサービスの開発など、今までにはなかった事業を開拓し展開しています。グローバル化と新規事業の創造という2本の軸を中心に私たちは従来にはなかったビジネス領域へチャレンジしているのです。ですから社員もチャレンジ精神が旺盛でビジネス意識の高い方が多く、毎日がとてもエキサイティングですね。まさに世界最高水準で仕事が出来るクロス・マーケティングは最高の環境ですね。

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