急成長企業のトップは何を考えているのか

ミドリムシで10億人の食料問題を救う!

株式会社ユーグレナ
代表取締役 社長 出雲 充

当期純利益・昨対比244% 

これまでにどの企業も成し得なかったミドリムシ(学名:ユーグレナ)の屋外大量培養を成功させた株式会社ユーグレナ。同社は、独自のミドリムシ事業を展開することで、世界中から栄養失調を無くすことを志す!


Q:ミドリムシを研究しようと思ったエピソードをお聞かせください。

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 大学1年生のときに、バングラデシュに行き、そこで目の当たりにした栄養失調がずっと頭に残っていました。それで帰国後は栄養失調を解決するために栄養のことを勉強し、その豊富な栄養を探しているときにミドリムシのことを知りました。ミドリムシの栄養がすごく豊富だというのは私が発見したわけではなく、また、「ミドリムシで地球を救う」というのも実は農芸化学の分野では広くよく知られた話でした。それを知ってから、自分はミドリムシを培養する研究をしようと決めました。これまで20年以上いろんな人が研究されているし、自分もそのミドリムシプロジェクトの一員になろうと思いました。


Q. 新卒で銀行に入行されていますが、それはなぜですか?

 在学中にやっていたミドリムシ研究では、技術としては完成できませんでした。将来のミドリムシベンチャーに向けた準備、というか修行という側面もあり、まずは銀行に就職しました。銀行であれば、一つの業種に縛られずに色々な事を学べるのではないかなと思ったというのもあります。ミドリムシであれば、当然食品会社や原料関連の企業など、そういう会社が近い業態となり、一番勉強になると思うのですが、近いがゆえに皆さんミドリムシの大量培養が難しいとよくご存じですから、いきなり新人がミドリムシを大量培養したいといってもなかなか難しいのではないかな、と考えました。銀行は広く色々な方と触れるので社会人としての成長出来るのではないかと思いました。


Q:自分で事業をしたいという思いはあったんですか?

 いえ、私は事業をしたいということはほとんど考えたことがありませんでした。社長になるということも特に目的としていたわけではなく、ただ、バングラデシュのような国にミドリムシを持って行ったら、貧しい人たちが健康になるわけですから、それが出来るのであれば別に大学の研究者でもよかったと思ってます。しかしやはり大学の研究者だと、バングラデシュにミドリムシを持っていくようなチャンスはなかなか少ないだろうと。何かビジネスをしたところで、そういう活動が出来るのか出来ないのかすらも当時はよくわかりませんでしたが、きちんとトライしてみようということでスタートした会社です。


Q.勤めていた銀行をやめて、ミドリムシを追求しようと思ったタイミングがあったのですか。

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 ありました。私が銀行にいたのは1年間なのですが、非常に重要なタイミングが、というかきっかけがありました。一つは、当時私は土日に、ミドリムシの研究をしている色んな先生のところに回っていたのですが、その時先生から、「出雲さんは『アマチュアとしては』一流のミドリムシ研究者で、日本で一番、もしかしたら世界でもトップレベルの人かもしれない。でも、月曜から金曜まで銀行員のあなたが、20年30年日本の研究者がなしえなかったミドリムシの大量培養法を発明する、というのは出来ると思いますか」と言われました。これは非常に納得しました。確かに二兎を追っているわけで、どんなに能力があっても、銀行員としても研究者としても成功するなんて、そんなにうまい話はないな、と。
 それとほとんど時期を同じくして、個人的に非常にお世話になったメンターの方で、ある雑誌の編集をされていた方に言われたのは、「それは銀行員にも研究者にもどっちにも失礼だ。どっちつかずでよいのか」と。「一つしか選べないんだったらどっちを選ぶんだ」と聞かれたときに、私がもともと銀行に決めたのも、将来ミドリムシのために非常にいい勉強になるのではないか、という理由もあったのを思い出しました。
 本当に同じタイミングでそういうお話を聞いて、きちんと銀行を辞めて、ミドリムシに集中して取り組まなくちゃいけないなと思いました。


Q:今後、新しくミドリムシを展開していこうと考えていらっしゃる領域やマーケットはありますか?

euglena_2私の場合はですが、個人の思い入れとか思い込みを超えて、将来を見分ける卓越した能力とか才能を、自分が持っているとは思いません。私の趣味・趣向よりも、お客さまや社会が抱えている課題や、具体的なニーズを教えていただく方が、やはり良いです。
 ジェット燃料の話もそうです。ある石油会社の方が、バイオジェット燃料になる原料をずっと探していたらしいのです。バイオ燃料の中でも、ガソリンや軽油や重油というのはバイオ燃料がもう既にあるのですが、ジェット燃料をバイオで作るのは難しくて、なかなか見つからず困っている、と。私は石油会社の常識も、石油のこともほとんど知らなかったので、その話を聞いたときも「そういうものなのか」と。私にとってはこれまで、可能性があるとも思っていなかった業界でしたし。しかしここで、もしミドリムシでジェット燃料が出来たら、相手の人はすごく喜んでくれる・・・。それが出発点になって今、この研究開発を進めています。私がこれ面白そうだよっていうよりは、やっぱりお客様に教えていただく方が意味があって大切ですね。


Q. きっと色んなお話を持ってこられることも多いですよね。

 そうですね。これは仕方のないことですが、ミドリムシにも向き不向きがあります。「これミドリムシで出来る?」「いやちょっと、ミドリムシはそういうものではないので出来ません」と。または、ミドリムシでできないこともないけれど、我々の知っている限りで、これについてはミドリムシではなくて他のものを使った方がいいよね、という場合もあります。
しかし、そういったお話がたくさん出てくる中にも、やはりミドリムシがお役に立つものもあるのです。ミドリムシでこれまでの半分の時間で出来ますとか、半分のコストで出来ますというのが、こうパッとわかることも時々ありまして。そういう時はすぐにご提案をして、じゃあ着手しましょうとなります。
 ですから、ミドリムシがお役に立ちそうなところにはどこまででも行きますけど、やっぱり一番大事なのは押し売りからスタートしないということです。ミドリムシで出来るかどうかもわからないのに、我々から強引に営業して回ることはしません。何かその課題を持ち込んでいただいて、それでミドリムシで出来ますと言うときは新しいプロジェクトとしてそれを行っていくという形です。。それは、世の中で流行っている・流行っていないとか、非常に儲かる・儲からないということとは全く関係がなくて、ミドリムシを導入すると今までよりも便利になって、喜んでくれるお客様がいるかどうか、いそうかどうか、です。


Q: 昨年の11月に75億円の資金調達をされていますが、何に投資されるのですか?

 euglena_575億円のうちの約43億円をミドリムシバイオジェット燃料とそれに関連するミドリムシの研究開発全般に投資する予定です。


Q:食品やサプリメントの方面にも積極的に展開されていくのですよね。どちらの方がプライオリティが高いとか、どちらかにシフトされていく、という方針なのですか?

 どちらかの方がプライオリティが高い・低い、ということはありません。
私どもは、「ミドリムシで人と地球を健康にする」というのを理念にしています。ミドリムシで人を健康にしたりミドリムシで地球を健康にすると言うことが一番大事なのです。
たとえば、ミドリムシは全く関係ないけれど何かすごい儲かりそうな話、というのがあったとしても、当社の強みとやろうとしていることとはほとんど関係がありませんので、それはやりません。しかし、ミドリムシで栄養失調をなくすことと、ミドリムシでジェット燃料を生産することは、これは両方ともミドリムシでやらないといけない仕事です。ですから、ミドリムシでやる仕事に、何かその例えば収益性で優劣を付けるということもありません。しっかりミドリムシを研究して、可能性を追究して、社会に還元するのが私どもの仕事ですから。ジェット燃料はちゃんと開発しなくてはいけないですし、食品や化粧品も、もっともっと深堀をして世の中の人々の健康に役に立つような商品開発をしていかなくてはいけないのです。食品はやめて、これからはジェット燃料にシフトしていきます、ということもないでしょうし、どっちの方がえらいとかえらくないとかそういうものもありません。


Q:経営者として、これまで一番嬉しかったことは何ですか。

 やはり私は一番最初に買ってくださったお客様のことは忘れません。2005年の12月16日にミドリムシが石垣島で培養できるようになって、2006年から当社の一番最初の商品、ミドリムシサプリメントを発売スタートしたのですが、そのサプリを買ってくださったお客様です。「これまで色んなサプリメントを調べて試してきたけれど、自分には全然効き目がなかった。でも、ミドリムシを飲んだら本当に効いたから、どのくらい効いたかをFAXするから待っていなさい」とメッセージがあった。その方が半年ごとに受けている健康診断の結果が全部FAXで送られてきました。ミドリムシを飲み始めたら、この数値がこうなってああなって、と全部説明が書かれていて。その日からもう8年経ちますが、そのFAXは、24時間365日、海外出張に行くときも欠かさず、毎日かばんに入れて持ち歩いております。これはやはり一生忘れません。


Q:出雲社長が今後、実現したいことは何ですか?

 

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 二つあります。一つは、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催の年までに、ミドリムシからバイオジェット燃料を作って、本物の飛行機を飛ばすことです。ミドリムシとは0.05ミリの非常に小さい昆布とかワカメなどの「藻」の仲間なのですが、その0.05ミリのミドリムシで大きな飛行機を飛ばす、というのをやります。
 もう一つは、今、推進している『ユーグレナGENKIプログラム』です。バングラデシュの小学生約2,000人に、毎日お昼の給食でミドリムシを食べてもらって、まずは栄養失調をなくして行こうと思っております。2,000人というのはまだまだ10億人から見ると全然足りないわけで、最終的には1万人、10万人、100万人、1,000万人、1億人・・・と増やしていく予定です。私が生きている間に10億人にミドリムシを給食で届けて、世界の栄養失調を根絶していくのが夢です。東京オリンピック・パラリンピック以後はジェット燃料で大きくしていきたいと思っています。


Q:ジェットエンジンを収益の軸として、その収益を世界の栄養失調の人々に投資していくのですね。

 そうですね。とにかく今10億人の栄養失調の人がいるわけです。一方、飛行機を頻繁に使っている、先進国に暮らしている人々も10億人くらいです。要は、その先進国の10億人と栄養失調の10億人をミドリムシでバランスを取りましょう、ということです。
 先進国の10億人の人は飛行機も乗っていますし、あとメタボで太っているとか、要は食べすぎて具合が悪い人たちなのです。そういう人にはサプリのミドリムシとか、青汁タイプにミドリムシが入っているユーグレナ・ファームの緑汁とか、こういういわゆる健康補助食品としてのミドリムシをちょっと高く買ってもらう。また、バイオジェット燃料も、石油燃料よりは少し高いですが、ずっと地球に優しいですし、それを買ってもらいたいと思っています。その分、栄養失調の10億人の人には、無料というわけにはいかないまでも、一人1円で、毎日ミドリムシの給食を食べてもらって、栄養失調をなくしたいのです。ミドリムシでそういうバランスを実現したいと思っています。

 

 

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