急成長企業のトップは何を考えているのか

「10年間、勝ち続けてきたシステムを捨てる」
最先端のレコメンデーション・エンジンを引き下げてグローバル展開を目指す

株式会社ネクスト
代表取締役 社長 井上 高志

連結営業利益・昨対比167%  連結経常利益・昨対比158%
                                      2014.02.27
不動産・住宅情報サイト『HOME’S
(ホームズ)』を基幹事業とするネクストは、1997年の創業以来、右肩上がりで事業を拡大してきた。しかし、20103月期以降3期連続で業績が横ばいとなる。その間に、同社では大幅な構造改革を実施し、そこで実現された4P戦略の変更によって第2
成長期を迎えることになる。更なる飛躍のために断行された構造改革の内容と、飽和した国内市場の競争優位性と海外展開への布石など、次に描いているビジョンについて迫る。


■創業の経緯は?
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井上:私は新卒でリクルートコスモスに入りました。リクルートコスモスは、マンションを開発・販売するデベッロッパーです。もともと5年で起業しようと決めて就職活動をしていて、若いうちから大きな仕事ができるところと考えて入社しました。しかし入社後3カ月でバブル崩壊を背景に不動産とノンバンクと呼ばれる金融機関が皆吹っ飛びそうになったんですよ。その影響で、リクルートコスモスという会社も危機的状態になりました。加えて、当時600人程度の会社が新卒で300人も採用した。大量採用したタイミングでバブルが崩壊したので、とてもじゃないですが、新卒300人は抱えきれなかったんですね。当時の新卒社員は次々にグループ会社に出向・転籍していく、そういう背景がありました。ですから、私は3カ月しか不動産業には従事していなくて、4か月目からはリクルートで求人広告の営業をやっていました。

 しかし、その不動産営業をしていた3ヵ月の間に創業の原点となる忘れられない出来事があったんです。それは、ある若いご夫婦との出会いでした。先に申し上げた通り、私がリクルートコスモスに入社した年は不動産バブルが弾けた年でしたので、住宅ローン審査が厳しい時期でした。そんな中、若いご夫婦がモデルルームの見学に来られて私が接客することになったんですね。そのモデルルームを若いご夫婦はとても気に入られた様子で、購入することを決断されたのですが、ローンの審査が通らず購入出来ませんでした。すごく落胆された姿に、何とかしたいと心から思いました。

 そこで私は、その若いご夫婦に気に入って頂けるような物件を自社からはもちろん他社の取り扱い物件もすべてかき集め、ご紹介しました。結果的には競合他社の物件に決められました。上司にはこっぴどく叱られましたけれどもね。後日、その若いご夫婦がお礼のご挨拶に参られたのですが、そのときの満面の笑顔を見て、「仕事ってこういうものなんだ!」と強く感じました。その原体験があり、私は「不動産業界における情報の非対称性を解消したい」という思いを持つに至り、「HOMES」への着想へと繋がります。
そして、当初の決意のとおり5年弱で独立しました。実家はサラリーマン家系なので、起業家は周囲にはいませんでした。親戚の中では突然変異みたいに言われました。笑

「どうして起業したの?」とよく聞かれるのですが、40年後の将来を見通せる人生には合わない性分だったことが一つ、あとは年子の兄がいるのですが、その兄が優秀なんですよ。笑 とてもきれいにエリートコースを進んでいるんです。「どうしたらこいつに勝てるかなあ」と考えたときに、ゲリラ戦法で「よし、起業だ」と決めたという感じです。


■インターネットとの出会い
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井上:
何をやりたいかは決まったものの、具体的にどのようにすれば、あらゆる不動産情報を提供する仕組みをつくり、不動産情報の非対称性を無くせるかと、頭を悩ませていました。当時考えていた構想はケーブルTVや、通信衛星などですが、初期投資にどのくらいお金がかかるか分かりません。そんな時にインターネットとの衝撃的な出会いを果たします。これだッ!!と思いましたね。これなら思い描いた不動産情報インフラを実現できると考えて、不動産情報サイト「HOMES」を立ち上げました。


■第2成長期突入への仕掛け
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井上:Price(価格)とProduct(製品)とPromotionプロモーション)とPlace(流通)の4P戦略、これを全部構造改革したということが大きいです。
 この4P戦略というのがポイントなのですが、創業期のなかなか成長しないところから、第10期~14期に掛けてようやくビジネスモデルが確立し、インターネットの普及という追い風もあって、営業利益が10億から16億くらいに成長し、第15期(20103月期)に19億円という過去最高の営業利益を出しているんですね。一気に60%ずつ成長し続けていくわけです。ここが急成長期です。そして第15期~17期の三期というのは、売上が107億円、107億円、103億円というように踊り場になっています。その後にもう一回、第2成長期に入り始めているんですね。前期(20133月期)は売上が約120億円、今期の業績予想では142億円というのが着地ラインです。結果的に、この時期に、この4P戦略に着手したことで、スムーズに第2成長期に移行することが出来ました。


Price戦略の改革
井上:掲載課金モデルから問い合わせ課金モデルへと変更しました。目的は、日本にあるすべての物件、空き家や空室を含め500万件くらいとみていますが、これを全て掲載することです。エンドユーザーが住み替えるときに、そこに全ての情報があるとなれば、他を見る必要がないじゃないですか。不動産会社からしてみると掲載料金の場合は、例えば手元に募集中の物件が100件あったとしても、掲載料金がかかるというと、「100件全部じゃなくて、そのうちのこの20件だけにしよう」という選別が始まるわけですよね。ところが、「掲載時には料金は頂戴しません」、「100件全部載せてください」、「問い合わせがあったときだけに、問い合わせに応じた課金をしますよ」という問い合わせ課金にしたわけです。そうすると皆が全ての物件を載せてくるようになるので、その結果、物件数が160万件くらいから、今ですと450万件くらいまでに一気に伸びました。競合他社では掲載物件数が平均200万件くらいです。それに対して我々が2倍から2.5倍くらいの物件数です。その情報量を集めるためにはPriceを変えなければ、どうしても難しかったと。でもPriceを変えるということは、ビジネスモデルを変更することなので数億単位で赤字になる可能性も秘めている、ものすごいチャレンジなのです。そこを、意志をもってやり切ったというのが、まず一つです。


Product戦略の改革
井上:物件数が増えると、今度はコンシューマーが欲しい情報が探しづらくなるわけです。たくさんの情報の中から、自分にピッタリな情報を検索しやすく、すぐ見つけられるようにするには、「HOME’S」というサイトをフルリニューアルする必要がありました。10年間、成長し続け、言ってみれば屋上屋を重ねるように追加開発をしていたので、我々もシステムの管理が難しくなってきていました。加えて450万件の掲載数と、賃貸、中古、新築、注文住宅など多岐に渡るニーズ。ユーザーにとって、使いやすさが極められている状態ではなかったと思います。それを全部横串で検索できるようにするというと、システム構造を全部変える必要がありました。10年間勝ち続けてきたシステムを全部捨てて、まったく新しいものを作ります、というのがProduct戦略の改革です。

 結果的に、これらを全部無事にやり遂げて、SEO上も最適な仕組みをつくり、流入数が増えるようになったというのが二つ目の挑戦です。


Promotion戦略の改革
井上:三つ目はPromotion戦略です。「HOME’Sは物件数No.1」ということをユーザーに訴求するために、積極的にプロモーションを実施しています。2年前が広告宣伝費25億、昨期が33億、今期45億。積極的に攻勢に出ています。国内の会社の中では非常に広告出稿の多い会社だと認識されているのではないでしょうか。ひとえにそれは、「我々は使いやすさもNo.1で、物件数もNo.1で、利用者数もNo.1ですよ」、「物件、使いやすさ、利用者がNo.1です」ということをユーザーにきちんと伝える使命を感じているからです。売上高に占める広告宣伝費の割合は30%くらいなので、ものすごく掛けています。それも積極的にチャレンジしています。


Place戦略の改革
井上:Placeというのは営業戦略、販売戦略のことを指しておりますが、日本全国の不動産会社さんを開拓していくための新規開拓チーム、既存加盟店フォローチームの新設、ミッションや評価手法など、全て変えました。
 ほぼ事業そのものの骨格を全部作り替えたというのが、先ほどの踊り場だといわれている3年間です。ある意味クレージーだと思いますよ、そこまでやるのは。


■中期的戦略について
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井上:我々の中期的な戦略の柱は、「DB(データベース)+CCS(コミュニケーション&コンシェルジュサービス)でグローバルカンパニーを目指す」です。地球上にある全ての住宅、地域、金融、その他あらゆる情報をDBに集め、いろいろなユーザー同士でコミュニケーションする、もしくは事業者とコミュニケーションを取ったりしながら、ユーザーのニーズに合わせて痒い所に手が届くような、コンシェルジュのような情報提供サービスを目指しています。顧客ニーズというビッグデータを処理していきながら、「このユーザーは今これが必要なはずでしょう」というところまでを、全てのデバイスで返していくという「レコメンデーション・エンジン」も今、独自開発しているところです。

今は情報爆発により、1日に生成される情報の量が10年前と比べると何千倍になっています。それだけ大量の情報が日々新たに生成されてくるものを“検索する”という行動ではなくて、システムが“提供してくれる”のであれば、とても便利ですね。そこの核になるテクノロジーが完成すれば、住み替えのレコメンデーションだけではなくて、求職・転職のレコメンデーションもできるし、別に自動車だって旅行だって趣味だって、結婚だって、すべてのマッチングビジネスというのがそこに置き換えられるわけですよ。それを我々は戦略の核にしています。


■そこに至る過程において現状とのギャップは
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井上:HOME’S事業では、創業時に描いたビジョンへの到達度は50%くらいです。コンシューマーに向けてのメディアという位置ではかなり完成度が高くなってきましたが、ビジネスサイドの業務プラットホームとしてはまだまだ手つかずで、不動産業界では前近代的な仕事のやり方、アナログなやり方が行われているわけです。それら非効率的な仕事の生産性を高め、空いた時間をお客様への提案を中心としたコンサルティング的な本来業務に充てられるようにしたいと考えています。例えば、不動産屋さんの店頭に行くと、図面がいっぱい貼ってあるじゃないですか。あれは未だにワードやエクセルで作っているんですね。それをシステムで合理的に一瞬で制作するとか。大きなファイルをペラペラめくりながら探す物件検索をシステムで合理的に処理するとか。それら作業的な業務をもっとシステムで合理的に処理をして、その代わりコンサルティングのところにもっと注力しましょうよ、ということです。「どんなお住まいがご希望ですか?」ということを聞いたうえで、「それでしたら今HOME’Sで探したらこういうものが出てきたけれども、実はあなたが探している吉祥寺は、前後の駅から比べると㎡当たりの単価は2500円割高なんですよ。それを踏まえた上で本当に吉祥寺がいいですか?」と、これはシステムでは対応しづらいものです。地元で不動産屋さんをやっている方ならではの情報。作業に時間を割かれるのではなく、より付加価値の高いコンサルティングに時間を使って頂きたいということです。そういう業務の合理化を実現する業務プラットホームはまだこれからの状態なので、そこも整備していきたい。そのコンシューマ側とビジネス側の全業務、全契約までの流れをもっと便利にして簡単にすると、ユーザー、不動産会社さんともにハッピーになるし、収益性も上がる。このようなパッケージをもっと世界中にガッと広げていたいと考えています。こちらと同時並行で海外の方も布石を打って、ちょっとずつ広げて続けていくという考え方です。


■海外展開の見通しは
井上:まだまだ布石を打ったに過ぎない状態なので、そこを加速させ、海外ユーザーを増やします。面展開をもっと広げるということです。我々の同業は、ほぼすべての先進国にあります。一番売上が大きいマーケットは中国です。我々の同業は、だいたいどこの国でも同じようなことを考えて事業展開をしています。不動産業界というのも、ものすごくシンプルに言えば、売り手と買い手、貸し手と借り手、そして仲介するエージェントがいる。その構図は変わりません。多少、仲介手数料のフィーの取り方が国によって違うということはありますけれどもね。あとは社会主義だった国では、土地の所有権を国家が所有しているので、そのへんの扱いが多少変わったりとかですね。

その中で、面を獲るための戦略として、我々はまず、システムから世界を席巻しようと計画しています。そのほうが速く、投資金額が少なく、広い面にアプローチ出来るからです。人が介在する“おもてなし”までやろうとすると、日本人を派遣して会社を作り、それを各国に展開すると、すごい手間と時間とお金がかかるわけです。ですからシステムを世界展開し、市場を開拓して行った後に人が介在していくようなサービスを付け加えればいいと思っています。例えばLINEは、全世界3億人使っている内、国内が5千万人くらいと、ユーザーの割合は海外が圧倒的に多いじゃないですか。それでいて拠点は、2拠点です。スマートデバイスという一つのプラットホームが出来たので、どんな形でもグローバルマーケットにベンチャーが入りやすい形にはなりました。同じようにスマートデバイスを中心として、レコメンデーション・エンジンという武器を作り、拠点もない、アライアンスも組んでいない、しかし海外ユーザーがいっぱい使っているという海外展開をしようと考えています。

一方で日本ではヒューマン・アプローチを実験し始めています。コールセンターに電話がかかってくると、コンシェルジュ・デスクが住み替えのお悩み相談を全部受けて、「そのようなご要望であれば、こういうものが良いのではないですか」や、「お勧めの物件はこれですね」であったり、「この会社さんだったら、このエリアに強いですよ」ということをお勧めすることをやっています。システム・アプローチとヒューマン・アプローチを国内では両輪で進めます。海外では先にシステムからです。


■どのような人材に門戸を叩いて欲しいか
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井上:
情熱を持って社会の「不」の解消に挑み続ける人。
利他主義やネクストが目指す世界観に心底共感し、挑戦意欲の高い人材に是非ネクストに加わってほしいです。
ネクストは利他主義を掲げながら、日本が、世界中の国が抱える課題に対して解決策となるビジネスモデルを実現できる企業でありたいと考えています。私たちと同じく強い志を持った方にこそネクストの門をたたいていただき、共に社会問題の解決に挑戦してほしいと思っています。


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